UBIC 代表取締役社長 守本正宏氏

日本オラクルとUBICは12月2日、企業の国際訴訟を支援するリーガルテクノロジソリューションで協業することを発表した。ビジネスのグローバル化が進むにつれ、日本企業が国際訴訟の原告/被告になるケースも増えてきているが、米国の民事訴訟などで要求されることの多いデジタルデータの開示に対応できている企業は少ない。フォレンジックエキスパートを数多く抱えるUBICと、文書管理システム「Oracle ECM」を擁するオラクルが手を組み、IT時代における日本企業の国際訴訟を支援していく。

米国の民事訴訟の場合、提訴から事実審理までの間に事実発見の手続きとしてディスカバリ(Discovery)というステップがある。証言録取や質問書などの資料を裁判所の求めに応じて"誠実に、正確に、期限内に"提出する手続きで、原告/被告ともに書面(Paper Discovery)、またはデジタルデータ(e-Discovery)による開示が求められる。この情報開示の手続きで「民事訴訟の約90パーセントはここで和解に至る」(UBIC 代表取締役社長 守本正宏氏)という。

とくに2006年12月に米国連邦民事訴訟手続き規則(FRCP)が改正されて以来、e-Discoveryを要求されることが多くなってきているが、国内ではまだ、安全な環境で大量のデジタルデータを証拠化できるノウハウをもつ企業は少ない。「企業買収、独占禁止調査、デューデリジェンスなど、日本企業が国際訴訟に巻き込まれるケースが増えてきているにもかかわらず、訴訟発生以前からのリスクを見据えたディスカバリ対応ができている企業は少ない。訴訟リスクはすべてのグローバル企業に存在する」(守本氏)

日本オラクル Fusion Middleware 事業統括本部 Fusion Middleware 第二SC本部長 成田裕次氏

UBICは日本でほぼ唯一といえるリーガルテクノロジの専門企業で、e-Discoveryソリューションとして電子証拠開示支援システム「List i View」をもつ。List i Viewは、証拠保全→証拠解析→証拠閲覧→最終提出証拠作成支援までをワンストップで提供するソリューションで、すでに多くのグローバル企業で導入されている。一方、オラクルのFusion Middleware 11g製品群のひとつである「Oracle ECM(Enterprise Content Management)」は企業内ドキュメントやファイル、Webコンテンツなどの情報資産を、訴訟前の段階から安全かつ正確に一元管理することが可能にする。また、米国企業の法務部門における導入実績も豊富で、国内企業への適応もしやすい。List i ViewとOracle ECMを組み合わせることで、「日常業務においても訴訟に備えた準備を可能にする」(日本オラクル Fusion Middleware 事業統括本部 Fusion Middleware 第二SC本部長 成田裕次氏)という。

今後、オラクルとUBICは、e-Discovery対策の重要性とソリューションの普及について共同でマーケティングおよび営業活動を行っていく予定だ。また、オラクルのパートナー企業にも同ソリューションを紹介し、協業パートナーを増やしていくことをめざす。