Flash Professional CS5の新機能
"iPhone騒ぎ"の影に隠れがちだが、Flash Professional CS5は開発者からの評価が高い新機能がほかにもある。現在、Adobe Labsにてプレビュー版が公開されているFlash Professional CS 5だが、今年中にはパブリックベータ版が公開される予定だ。そして新バージョンにおいてガルバン氏が重要なポイントとして挙げてくれたのが「TLF(Text Layout Framework)」と「XFLフォーマット」だ。
TLFは、Webアプリケーション上で表現豊かなテキストレイアウトを可能にするフレームワークだ。OSSプロジェクトとして今年7月に公開されており、以前からFlash Proへの統合を多くの開発者が待ち望んでいたオーサリング機能で、「たくさんの可能性を秘めた機能」(ガルバン氏)とAdobe側が最も力を入れた部分でもある。「開発の時間が大幅に短縮した」というフィードバックも多いそうだ。
XFLはXMLベースのFLAファイル形式で、これによりFlash ProとAdobe After Effects間のインテグレーションが容易に行えるようになるという。つまりAfter Effectsで作成したコンテンツをXML形式で書き出し、これをFlash Proで編集することが可能になるというもの。もっともXFLについては「重要な機能だが、まだ完璧な仕上がりというにはほど遠い」とガルバン氏。ユーザからのフィードバックを得ながら随時改善していきたいとしている。
デザイナーと開発者との"ブリッジ"として
Adobeはここ最近、「デザイナーと開発者の垣根を低くする」ことを掲げるプロダクトを数多く発表している。今年の6月には主力のFlashファミリのリブランディングを行い、主にデザイナー側の視点に立った「Flash Catalyst」、開発者のための「Flash Builder」など、それぞれの立場にあわせた製品を提供している。そんな中にあって、Flash Professional CS5は、どういった層をターゲットにしているのだろうか。とくにFlash Builderユーザとの棲み分けのラインはどう定義しているのだろう。
「棲み分けというよりも、その人がどんな制作スタイルかによるね」とガルバン氏は言う。「Adobeは、"あなたはデザイナーだからこれを使いなさい、開発者だからあれを使いなさい"といった製品の提供の仕方はしていない。Flash Proは中級からやや上級者よりの製品といえるかもしれないけど、中にはActionScriptを書くことがあまり得意ではないWebデザイナーや開発者も多い。そういう人たちがストレスなく、正しい仕事をできるようにアシストするためのものだと思ってほしい。デザイナーと開発者の間にラインを引くのではなく、むしろどの立場にいる人にも使ってもらえるように製品を開発している。足りないほうの知識(コーディング/デザイン)を補完する、といったイメージに近い。Flash Proは、(iPhoneも含め)すべてのランタイムに対応している - これが最大の強みだ。より多くの開発者/デザイナーに、さまざまな資産を継承できるブリッジのような存在でありたいと願っている」(ガルバン氏)
最後にガルバン氏に日本のFlashユーザ/開発者についての印象を聞いてみると…「日本には年に1回は来るようにしているけど、本当ならもっと来たいくらいだよ」とのこと。「日本のFlashコミュニティは、作品がのレベル素晴らしいだけでなく、コミュニティに熱意がある。それを感じることができるのは本当に嬉しい」と語る。Adobeは重要なプロダクトのプライベートベータ版を出すときは英語版だけでなく日本語版も出している。これは「日本のユーザを重要視していることのあらわれ」(ガルバン氏)だという。もちろんFlash Professional CS 5も近いうちに日本語でレビューできそうだ。