11月1日付けでジュニパーネットワークス代表取締役社長に就任した細井洋一氏。具体的な目標としては「Juniper全体の売上のうち、日本法人が占める割合を15%くらいまでにもっていきたい」と語る

ジュニパーネットワークスは11月11日、1日付けで同社代表取締役社長に就任した細井洋一氏の就任会見を行った。10月末、米Juniper Networksはニューヨーク証券取引所にて、同社の今後10年の命運を賭ける新製品および戦略発表を行っている。その直後、いくつものIT企業で要職を務めてきた細井氏が日本法人新社長として就任するという人事を行った背景には、同社が日本市場でのシェア拡大に本腰で力を入れ始めたことを物語っている。

細井氏は慶應大学法学部出身。メッセージ配信サービスプロバイダのバイテル・ジャパン(現エクスパダイト)を皮切りに、日本サン・マイクロシステムズ(現サン・マイクロシステムズ)、日本SSAグローバル、ハイペリオン、エヌビディアといった外資系IT企業の日本法人で要職を務めてきた人物で、IT業界でのキャリアは30年におよぶ。今回の同社社長就任はJuniperからの熱心なアプローチによるもので、アジア太平洋地域担当 副社長のアダム・ジャッド氏は「グローバルで成長戦略をめざす我が社にとって、シニアな役割を負う人材はハイレベルかつマチュアでなければならない。IT業界において長年、非常に評判の高い細井氏は、まさに重要な日本市場のカントリーマネージャにふさわしい」と語る。

Juniper Networksでアジア太平洋地域担当 副社長を務めるアダム・ジャッド氏

細井氏は社長就任要請を受けた理由として、この10月まで日本代表兼米国バイスプレジデントとして在籍していたNVIDIAでの経験が大きいとしている。「(NVIDIAでは)GPUコンピューティングは重要なキーワードとなりつつあることを肌で感じてきた。ネットワーク上でのビデオ送受信が当たり前になり、なおかつ、あらゆるデバイスによる常時接続が求められる現在、これまでの概念を大きく変えるネットワークが必要になる」(細井氏)とし、ネットワークに"破壊的"なイノベーションを提供できる会社こそがジュニパーネットワークスだと感じたという。

細井氏は同社での自身の役割について、まずはジュニパーを中心とする「エコシステムを日本市場に確立すること」と断言する。先日ニューヨークで発表された新テクノロジ「JunosOne」「Junos Trio」、リブランドされた「Junos」プラットフォームを中心に、同社は今後、高速性と価格パフォーマンスを謳う新製品を順次リリースしていくことになる。そのためには、先日発表されたIBMやDellとの協力関係強化と同じく、国内パートナー/SIerとの関係を最適な形にしていく必要がある。また開発者支援や、ユーザエクスペリエンスの向上も重要な課題だ。「エコシステムを構築するには"適材適所"がキーになる。ジュニパーの破壊的なテクノロジを、いちはやく、効率的に市場に届けるためには、その間に立つパートナー/SIerの役割を最適化することが必要だ。これが私の最初に注力する仕事になる」(細井氏)

米Juniperが先日発表した今後10年における同社のキーワードは"The New Network Is Here" - これは細井氏が30年のキャリアで培ってきた"ネットワークこそコンピュータ"という思いとまさに重なる。「ネットワークのDNAが自分の中にある」と言い切る細井氏が、日本市場でジュニパーのステージをどこまで上げることができるか、業界中が注目している。

Juniper NetworksのNYSEメンバー入りを記念してニューヨーク証券取引所正面玄関に掲げられた"The New Network Is Here"の横断幕。大量のオンライントランザクションを日々処理するNYSEでも、Juniperのソリューションが導入されている。日本市場で"The New Network"がどのくらい存在感を示せるか、細井氏の手腕に期待がかかる