いよいよ中国のおサイフケータイ
中国では公共交通機関に非接触型ICカード乗車券の普及が進むなど、今後日本のようにICカードやおサイフケータイによる小額決済が普及することが予想されている。本展示会でも実用化間近の「中国版おサイフケータイ」の展示が行われていた。
中国移動ブースではICカード対応自販機や来年開催される上海万博のICカードゲートなどを展示しており、中国版おサイフケータイを使ったデモが行われていた。
日本のおサイフケータイは、端末自体に回路を組み込んだ専用端末でサービスを展開しているが、中国移動では着脱可能なSIMカードに無線アンテナを組み込む技術を採用。これにより、各メーカーの既存の携帯電話を全て「おサイフ化」することを可能にした。この技術は韓国でも採用されはじめている。
この技術は、顧客に専用端末の買い替えを促す必要が無いため普及が早いという利点があるが、端末によっては電池の下にSIMカードスロットがあるため、センサーの感度が悪くなるなどの欠点もある。
このおサイフ対応SIMカードは年内にも提供される予定で、中国移動の営業所で既存のSIMカードと交換も行われる。来年開催される上海万博のチケットは中国移動も公式販売代理店になっているが、同社が販売するチケットはこのおサイフケータイ対応版のものになっているとのことだ。
一方、中国電信は外付けストラップ型の非接触型ICカードを展示していた。こちらは携帯電話本体とは連携はしないものの、専用のmicroSDカードを挿入して利用することでセキュリティー対応などがされているという。こちらも年内には利用可能になる予定とのことだ。なお、中国電信も上海万博の公式販売代理店となっており、このストラップをつけた携帯電話で入場ゲートを出入りできるようになるようだ。
ネットブックは3Gモデム内蔵タイプが主流に
中国の3Gは、3つの事業者が異なる方式をこの春から展開している。中国移動がTD-SCDMA、中国聯通がW-CDMAを、中国電信がCDMA2000 EV-DOだ。3社はともに、同展示会にブースを出展していた。
3社のブースでは、音楽ダウンロードや情報配信など、すでに日本や諸外国でおなじみのサービスが展示されていた。3Gのキラーサービスについてはまだ模索中といった印象だが、3社そろって力を入れているのがモバイルブロードバンド、すなわち高速なインターネットアクセスサービスだ。
3社ともにUSBタイプの3G高速モデムの展示が行われていたが、目立っていたのはモデムを内蔵したネットブック。中国方式の3GであるTD-SCDMAも、下り2.8Mbpsに対応したTD-HSDPAが実用化されており、その対応製品の展示も行われていた。中国メーカー製の製品も多数展示されており、中国のネットブックは文字通り「モデムを内蔵してすぐにネットにアクセスできるノートブック」がトレンドになっていくようである。