コンパクトデジカメが一般化していろいろなシーンで使われるようになったことで、昼間の屋外だけでなく夜景や照明を落とした室内などでもきれいに撮れることが求められるようになった。フラッシュはあるが、そもそも照射距離が数mしかないし、真正面から強い光を当てるので不自然な印象になりやすい。「写ればいい」という程度ならともかく、「キレイに撮りたい」となるとなかなか扱いが難しいのだ。

それに対して今回のDSC-WX1/DSC-TX1なら、暗所で感度を上げて撮影してもノイズが少なくなり、より自然に明るい写真が撮れるようになる。これは大きなメリットだ。もともとの低ノイズによって高感度画質が良好になっていることに加え、CMOSの高速性を生かした機能も搭載されている。

それが「手持ち夜景モード」と「人物ブレ軽減モード」。これがとにかく便利な機能なのだ。

DSC-WX1の本体背面。モードダイヤルから手持ち夜景モードと人物ブレ軽減モードが選べる

いずれも、高速連写により6枚の画像を撮影し、それを合成するという仕組みだ。複数の画像を合成することで画像に現れるランダムノイズを1/2に低減するので、通常撮影よりも大幅にノイズの少ない画像が生成される。

Exmor Rは、約2倍の感度でノイズを約1/2に低減。そして高速重ね合わせによりノイズが1/2になるため、結果としてノイズが通常の1/4になり、暗い部分が約4倍キレイになったという。

実際の効果はかなり大きい。約4倍キレイはダテではなく、全体のノイズは大幅に低減されている。なぜかノイズのざらつきがある低ISO感度でも、手持ち夜景モードを使うとほとんどノイズが消えて、高画質になる。ISO3200までいくとさすがにノイズは完全に消えないが、それでも1/2になっているというのは大げさではない。

ちなみに、手持ち夜景に比べて、人物ブレ軽減モードでは積極的にISO感度が上がり、簡単にISO3200にまであがる。ノイズよりも被写体ブレを回避する方向だ。逆に手持ち夜景モードではシャッタースピードは遅くなりがちなので、手ブレ・被写体ブレの注意は必要。また、手持ち夜景モードのホワイトバランスの方はその場の雰囲気を残す設定になっているようだ。

これはおまかせオート撮影で撮影した画像。1/15秒でISO400

こちらは手持ち夜景モード。シャッタースピードは1/20秒でISO400。同じISO感度だが、明らかにノイズが低減されているのが分かる

これは人物ブレ軽減モード。ブレないようにシャッタースピードを上げるため、1/125秒、ISO3200という値になった。ノイズはそれなりに乗っているが、これぐらいなら許容できるシーンもありそうだ

ISO感度比較と同じシーンでも試してみた。こちらは手持ち夜景モード。ISO160

こちらは人物ブレ軽減モード。ISO感度はISO320

高速連写と同様に、撮影後に数秒のタイムラグが発生するので、連続で何枚も撮影するようなシーンには向いていない。しかし、効果が高く、ノイズの少ない撮影ができるので、積極的に使いたくなる機能だ。

高速連写を生かしたもう1つの機能が「スイングパノラマ」。これは同社のCMOS採用デジカメ「DSC-HX1」にも搭載されていた機能だが、カメラを振るだけでカメラ内でパノラマが合成されるというもの。普通のパノラマ撮影のように、1枚ごとに継ぎ目を合わせながら撮影する必要はなく、シャッターボタンを押しながら単にカメラを振るだけでいい。

スイングパノラマの撮影時の画面。カメラを振る方向が指示されるだけで、1枚ごとつながりを気にする必要はない

最大100枚の画像を撮影するが、1枚ずつが短冊形の細い画像で、それをつなぎ合わせていく形になる。DSC-HX1では最大224度という広大な範囲を撮影できたが、より広角レンズを搭載したDSC-WX1は最大256度のパノラマが撮影できる。

スイングパノラマで撮影した画像。うまく撮れれば継ぎ目もほとんど分からないでこれだけのパノラマ写真が撮れる

試してみた限りは、それほど気合いを入れずに、軽い気持ちでカメラを振るだけでもキレイなパノラマが合成される。人物の部分で継ぎ目がおかしくなることはあったが、おおむね満足いく結果が見られた。

撮影方向は左右・上下の各方向に対応しており、横方向だけでなく、上下のパノラマが撮影できるのも面白い。撮影角度は、横方向の場合4,912ピクセルになる標準サイズと、7,152ピクセルのワイドサイズを選択することも可能だ。

撮影した画像は、再生時には全体表示になるが、撮影方向に合わせてスクロール再生することもできる。パノラマのワイド感が実感できて面白い。