――「旅」にフォーカスした便利な機能もあるそうですね。
今村「新しい機能としてEX-H10に搭載されたのが『風景メイクアップ』です。『鮮やか風景』と『もや除去』の2モードを用意していますが、鮮やか風景はただ彩度を上げるだけではありません。実は画像解析をして注目色を見つけています。たとえば、緑豊かな風景の中に黄色い花畑がある場合、色相の解析を行ってその花と緑の彩度だけを上げています。反対にそこにコンクリートの道がある場合、単純に彩度を上げただけですと道が黄ばみますが、鮮やか風景では色が変わりません。このように、専用ボタンを押すだけで画像を解析して最適化した彩度の上昇を行い、鮮やかになるべきところだけ彩度を上げた風景写真が撮れます。
一方、もや除去では、ガスった風景を空気が澄んでいる状態に近づけるようにします。特に夏場は天気がよいと水蒸気が多く発生するので、風景にもやがかかったように見えます。もちろん完全に晴れるわけではありませんが、少なくとも見えにくいものが見やすくなりますね。
もや除去はガンマカーブを操作するのですが、どれくらいもやがかかっているのか、画像のもや具合を調べて補正します。ただコントラストを上げただけではなく、カメラが画像を解析し、自動的にレベルを決めてガンマカーブを動かすのです」
"一緒に旅に出かけよう"のキャッチフレーズで旅の世界へ誘うフォトブック ※フォトブック掲載写真 |
――ガラス越しの撮影でも効果がありますか?
今村「あります。反射は写り込んでしまいますが、すこしフレアが出てしまったような場合ですと、偏光フィルターをかけたような効果があります。実はこのもや除去は、中国のスタッフが現地の市街を撮影して送ってきたのが、そもそものはじまりなんです。その写真は黄砂などでかなりもやがかかっていて、それを見た技術者が『これを画像処理でなんとかならないか』と考え、開発をスタートしています。せっかく来訪した場所がガスで何も見えなかったら残念ですよね。そこがすこしでも何とかなればと」
――風景メイクアップは「人物メイクアップ」と同じく、専用ボタンを採用してますね。
今村「人をキレイに撮るときは右のボタン、風景をキレイに撮るには左のボタンというコンセプトです。鮮やか風景ともや除去は、『+1』『+2』の強さを選んで撮影できます。+2にしますとかなり効果があります。ただ、人物メイクアップと風景メイクアップの両方同時には利用できません。お互い相反する処理をするので、人物が入るときはどちらもオフにするか、ベストショットの中の『人物と風景』モードで撮影されることをおススメしています」
――その他、新たに盛り込まれた機能はありますか。
今村「従来機EX-Z400から『押すだけ逆光』『押すだけ夜景』『押すだけ追尾』などの機能を引き継いだほか、動画と静止画の合成機能である『ダイナミックフォト』が進化しています。画像を合成するときに背景に合わせて、動くキャラクターを拡大・縮小できたり、作成した合成データを動画ファイル(Motion JPEG)にカメラ内で変換できるようになりました。さらに花束やハートなど、静止画に合成して楽しめるバリエーション豊かな素材が、内蔵で8種類、ウェブサイトからは250種類以上ダウンロードできます」
――新たなカラバリもリリースされましたね。
今村「いままで国内で販売していたモデルはシルバーとピンクの2色だったのですが、11日より海外モデル同様ブラックをラインナップに追加します。新モデルは、ボディ全体が暖かみのあるブラック、上の部分が落ち着きのある淡いゴールドで光沢のあるパーツになっています。3色展開と選択肢も増えたことで、さらに"大人の旅"の楽しみを広げるカメラになっています」
――本日はありがとうございました。