ネットワークのポイント
ネットワークについては、Hyper-Vでは、ペアレントOS上に仮想スイッチをもち、ペアレントOSもゲストOSも仮想スイッチ、さらに仮想NICを経由してアクセスするという。
ネットワーク設計のポイントとしては、役割別にペアレントOS用、仮想OS用、ハートビート用、LiveMigration用、iSCSI用という具合に、物理NICを分けたほうが良いという。
なお、ネットワークに関しては、Hype-V2.0でVMQ(Virtual Machine Queue)が新たにサポートされている。
VMQは、従来のようにデフォルトキューですべての仮想マシンを処理するのではなく、物理NIC上に仮想マシンごとにキューを設ける機能で、ドライバレベルでサポートするものだという。マイクロソフトの社内検証の結果では、この機能は仮想マシンが1つの場合はほとんど変化がないが、3個、4個と増えるに従って効果が明らかになるという。
また、Hyper-V2.0では、ジャンボフレームとTCPオフロードにゲストOSレベルでサポートする新機能が追加されているという。TCPオフロードを利用すると、ペアレントOSのプロセッサにほとんど割り込みを発生されることなくI/Oするため、CPU負荷を下げることができるという。
ストレージのポイント
ストレージについては、ペアレントOSでサポートされる接続形態は、DASとSAN、仮想マシンでは、VHDファイル、パススルー、iSCSIの3つがあるという。
仮想ストレージのインタフェースとしてはIDEとSCSIがあるが、OSがブート可能なストレージでIDEのみだという。Hyper-V2.0では、稼働中に仮想ストレージの追加/切り離しをサポートするHot Add/Removeに対応したので、データストレージではSCSIを推奨するという。
VHDファイルには、容量を最初から固定する固定VHDと、容量をその都度自動拡張する可変VHDがあるが、可変VHDは、各データブロックへのポインタテーブル(BAT領域)を持っており、毎回このポインタを介してアクセスするため従来はレスポンス面で固定VHDに対して劣っていたが、Hyper-V2.0よりこのテーブルをメモリ上に展開することが可能になったため、レスポンスにおける両者の違いはほとんどなくなったという。
ただ、可変VHDは必要なときにその都度自動拡張するので、データ領域がデフラグ化しやすいというデメリットがあるという。
これを踏まえて伊賀氏は、開発環境など効率性を重視する場合は可変VHD、本番系などパフォーマンスを重視する場合は固定VHDを使ってほしいとアドバイスした。