AMD Phenom IIでは、"TWKR"という至上のオーバークロック(以下OC)向けCPUも登場したが、そちらは一般には入手不可能なもの。とりあえず現在のPhenom II X4でOCを楽しむとしたら"Black Edition"になるだろう。今回は「AMD Phenom II X4 955 Black Edition」を用いてオーバークロックの実験を行ってみた。
酷暑のなかPhenom II X4 955 Black Editionを水冷OCしてみる
Phenom II X4 955のOC用として用意した機材を紹介していこう。まずマザーボードはGIGABYTEの「GA-MA790FXT-UD5P」を選んだ。GA-MA790FXT-UD5Pは、チップセットにAMD 790FX+SB750を組み合わせたATXマザーボードだ。フェーズ数は8+2という構成で、140WまでのCPUをサポートする。また、2オンス銅箔層PCB、日本製固体コンデンサや低RDS(on) MOSFETなどで構成される品質基準「Ultra Durable 3」により、発熱を抑え、冷却の効率化も謳われている。
AMD 790FX+SB750チップセットを搭載する「GA-MA790FXT-UD5P」。CrossFireXに対応する2本のフルレーンPCI Express 2.0 x16スロットを備える |
8+2フェーズの電源回路を搭載。CPUには8フェーズで、「Easy Energy saver」を利用すれば電源フェーズ数の切り替えにも対応。残る2フェーズはアンコア部に電源を供給する |
CPUクーラーにはCoolIT Systemsの「DOMINO」を選んでみた。DOMINOはラジエータ・ポンプ一体型の水冷システムで、コンパクトかつメンテナンスフリーな点が特徴の製品だ。ところで、TWKRの説明会でOVERCLOCK WORKSの渡辺氏が「Phenomは冷やすほどまわる」と言っていた。しかし検証場所となる筆者の仕事部屋には諸事情によりエアコンが無い。最近は1日を通して30度を超え、執筆用としているダウンクロック仕様のPCすら熱暴走するほどだ。比較的涼しい夜中に検証するとしても冷却能力の高いクーラーを選ばざるを得なかったわけである。
筆者のアシスタントも興味津々のようだ。冷たいヘッドが気に入ったのかと思えば、どうやら爪研ぎ向けなラジエータ部分がお気に入りだったらしい |
CPUヘッドの固定は、マザーボード付属のバックパネルと専用リテンション金具(ネジ色)を利用する。キットのデフォルトではLGA1366/LGA775用のリテンション金具が付属しており、AM2/3 CPUで利用する際は要交換 |
そのほかのパーツに関しては普段から検証用として利用しているものをそのまま利用することにした。メモリはGeILのDDR3-1600トリプルチャネルキットの「GV33GB1333C9TC」(2GB×3)を2本使用することとし、グラフィックスカードはMSIのGeForce GTX 280カード「N280GTX-T2D1G」、HDDはWesternDigital「WD3200AAJS-B4A」、OSはWindows Vista SP1 32bit 英語版などである。
■検証機のスペック | |
CPU | AMD Phenom II X4 955 Black Edition |
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メモリ | DDR3-1333 4GB(GeIL GV33GB1333C9TC) |
HDD | WesternDigital WD3200AAJS-B4A(320GB/7200rpm/8MB) |
マザーボード | GIGABYTE GA-MA790FXT-UD5P |
グラフィックスカード | MSI N280GTX-T2D1G(GeForce GTX 280) |
電源 | CoolerMaster UCP900W(900W 80PLUS Silver) |
OS | Windows Vista Ultimete SP2(E) 32bit |