本体サイズはW60×H95×D17.4mm、重量約120gと小型軽量で、ポケットにもすっぽり収まるサイズに抑えた。それでありながら連続通信時間6時間、連続待受時間20時間を実現できるとしている(商用時)。本体にはSIMカードスロットを備え、トライアル時はNTTドコモのSIMカードを使う。トライアルに関しては専用のSIMカードを使うという。

4台の端末を接続したところ。有線LANケーブルが1本しかなくても、複数の端末を同時に接続できる

PWRを掲げる小林社長。右手に持つのがPWRで、左手は1年前の試作機。「ようやくここまで来た」と小型化した点を強調する

普段持ち歩く際はスタンバイ状態で常に外部ネットワークを検索しており、無線LAN対応機器でPWRにアクセスすると、そのとき最適なネットワークに自動接続する。いちいち取り出して起動や接続作業をする必要がなく、ユーザー側に特別な作業は必要ない。

無線LANエリアから離れると自動的にHSDPAで再接続。HSDPAから無線LANエリアに入ると自動で無線LANに接続し直してくれる。ただし、Skypeでの音声通話などは接続切り替え時に切断されるようで、HSDPAで接続しながら通信している場合は、通信を優先して無線LANエリアに入っても接続し直さない。

PWRの特徴。PWRを取り出さなくても接続でき、使い方も簡単。長寿命で、現時点でも、連続通信時にiPod touchやノートPCの方が先にバッテリ切れになるそうだ

同様の携帯接続対応の無線LANルータはあるが、自動切り替え・自動接続、バッテリ駆動時間などが特徴

公衆無線LANなどの設定は、PWR内に複数保持でき、優先するネットワークを設定できるので、接続先の選択も不要。

フィールドトライアルでは、8月下旬から10月31日までの期間、500人程度を対象にPWR本体、ドコモの携帯契約、公衆無線LAN「フレッツ・スポット」契約をそれぞれ無償で貸与する。トライアルの申込期間は7月15日から8月21日まで。

トライアルの詳細

ジャーナリスト/アーティストのモーリー・ロバートソン氏は、PWRの可能性を示すために、PWRを持って日本全国を旅しながら、その模様を映像でリアルタイムストリーミングする。PWRによって「ネットの使い方そのものが変わるのではないか。時代のうねりすら感じた」と絶賛

トライアルで実際の動作を検証するとともに、利用シーンの確認、課題や要望の吸い上げなどを行い、商用化につなげていく。また、無線LAN対応端末の開発企業やサービス・アプリケーション開発企業も募集し、利用シーンの拡大を図りたい考えだ。

同社の小林忠男社長は、「日本だけで4,000万台以上の無線LAN対応機器がある」と話す。家庭では1,300万世帯に、オフィスでは60%に無線LANのAPが設置されているとして、無線LANが「必要不可欠なものになっている」と指摘する。

しかし、無線LAN対応機器はAPのある場所でしか使えないため、「いつでもインターネットに接続したい」というユーザーの要望に応えられなかった。PWRは、そうした課題を解決するために開発されたもので、「6~7年前ぐらいからやりたいと考えていた」と小林社長。

今年中には製品化を図る考えだが、NTTBPは無線LAN専業のため、実際の製造・販売は他社が行う。トライアルでは携帯がドコモ、公衆無線LANがNTT東西だが、製品化ではSIMロックをするか否か、複数の公衆無線LANに対応するかなどは、販売側の意向によるようだ。

携帯側はEDGE/GPRSにも対応できることから海外での販売も目指していくほか、無線LANはIEEE802.11a/11nへも対応していく意向。将来的にはLTEやモバイルWiMAXのような次世代通信にも対応していくとしている。

今後の展開予定