ミック経済研究所は6月16日、国内SaaS・PaaSサービスの市場規模を発表した。同発表によると、2008年のSaaS・PaaSサービス市場の売上額は、前年比19.4%増の1,569億円となった。2009年度も好調を維持する見通しであり、市場規模は1,847億円、前年度比117.7%に拡大すると予測されている。

同社では、SaaSを「ユーザー企業が初期費用および、月額利用料あるいは年額利用料を支払うことで、サービス企業(SaaS事業者)が所有するソフトウェアの機能を、ネットワーク経由で利用できるサービス」、PaaSを「ユーザー企業が初期費用および、月額利用料あるいは年額利用料を支払うことで、サービス提供企業(PaaS事業者)が所有するハードウェア、ミドルウェア、ネットワークから構成される情報システムインフラリソースを利用できるサービス」と定義している。

不況の影響から低迷するITサービス市場において、SaaS・PaaSサービス市場は例外で、年率20%近い伸びを見せた。2007年以降、市場に参入する企業が急増し、SaaSで提供できるサービスメニューも広がった。同社は2009年度も好調を維持すると予測しているが、成長の要因の1つとして、2008年下期からの金融危機以降、IT投資を控える企業にとって、SaaSやPaaSは初期投資が抑えられる点がメリットとなることを挙げている。

SaaS・PaaSサービス市場の平均成長率は、2009年度から2013年度までの5年間で16.9%増と予測されている。今後5年間で、市場規模のほぼ倍増が見込まれる有望な市場と位置付けるITベンダーは多いようだ。

2008年度のSaaS・PaaSサービス市場のうち、SaaS市場は1,517億円、PaaS市場52億円と、PaaSは市場が形成され始めたばかりであるため、構成比は3.3%にとどまった。2009年度は、SaaS市場が前年度比114.6%の1,738億円、PaaSは倍増の109億円に拡大すると予測されている。

PaaS市場は、2007年度の4億円(実績)から、2008年度52億円(実績)、2009年度(予測)109億円と、爆発的に伸びている。現在のところ、PaaSは一般企業における導入が多いが、PaaSベンダーは将来的にはSaaSベンダーに積極的に提供していく構えと、同社では分析している。

SaaS・PaaSサービス市場規模 中期予測 2007年度~2013年度(単位:億円) 資料 ミック経済研究所