ベスタクスは6月10日、マスコミおよびディストリビューター向けに新製品発表会を行った。この発表会は、本年1月にアメリカで開催された「NAMM SHOW 2009」、4月にドイツで開催された「MUSIC MESSE 2009」で発表された製品群の日本初公開の場となった。発表会は2部構成で、第1部ではクラブバーRIPPLEで製品発表とテックハウス・クリエイターHiroshi Watababe氏によるデモンストレーション、第2部はベスタクス本社のタッチ&トライコーナーにて、開発陣の説明を聞きながら新製品を試すことができた。

代表取締役中間俊秀氏の挨拶で新製品発表会が幕を開ける。PC-DJが盛り上がる昨今の音楽シーンの状況は、10年ほど前のDJカルチャー興隆期に似ていると中間氏はコメントした

ベスタクス本社隣の「RIPPLE」にて、製品発表とHiroshi Watababe氏によるデモンストレーションが行われた

製品発表はDub Master X氏をゲストに迎え、トークショーさながらの雰囲気で進んだ。本発表会で目玉となった製品は、USB MIDIコントローラー「TR-1」。ベスタクスとHiroshi Watanabe氏が2年半の開発時間をかけた渾身のコントローラーで、DJミキサー相当の操作フィーリング、ボタン類の質感など、細部の作り込みに徹底的にこだわっているという。4Deckセレクト、LED光量調整、ジョイスティック型セレクターなど、世界初の機能を多数搭載している。

Dub Master X氏(左)をゲストに、「NAMM SHOW 2009」などで発表された新製品が次々と紹介された

USB MIDIコントローラー「TR-1」は、コンパクト性とリアルタイムプレイを優先して設計したという

次いで注目を集めていたのはUSBオーディオステーション「VAI-80」だ。PCオーディオをフィジカルに操作するオーディオデバイスで、音量を調整できるボリュームと2バンドEQを搭載する。ソフトウェア上のコントロールパネルを使うことなく、リアルタイムミキシングコントロールを実現するデバイスだ。

アウトプットへの注力も、本発表会のポイントといえる。インイヤー型カナルヘッドホン「JET」、DJ MAYUMIとベスタクスのコラボレートから生まれたハード型ヘッドホン「HMX-1」を投入。ともに音質と臨場感にこだわり、出力方面の強化を感じさせる。また、新たに冷却システムを搭載したデジタルパワーアンプ「VDA-1000MKII」、レコードのデジタル化に便利なUSBポータブルターンテーブル「handy trax USB」などの説明も行われた。

Hiroshi Watanabe氏のデモンストレーションでは、DJプレイを交えながら「TR-1」の機能解説が行われた。Hiroshi Watanabe氏は「TR-1」の開発にあたり、ボタンの感触、細部の質感など、「モノのオーラ」を大切にしたという。また、ミキサーの名機「PMC-50」のパネルが気に入っていたため、そのデザインを意識したそうだ。なお、デモンストレーションで使用した機材は「TR-1」、「VAI-80」、「VDA-1000MK II」、そしてノートパソコンという新製品中心に構築されたPC-DJシステムだった。どれもポータビリティを意識した製品あり、ベスタクスが提示するPC-DJのスタイルでは、「コンパクト」という要素が大きなウェイトを占めているようだ。

Hiroshi Watanabe氏の手元をスクリーンに大きく映し出し、実際のプレイをしっかりと見せながらのデモンストレーションとなった

発表会第2部のタッチ&トライでは、新製品群に加え、「GUBER ACTIVE AUDIO CM」シリーズと「PMC-08PRO」のレッドバージョンが展示されていた。また、昨年秋に発売されたマルチトラックリミックスコントローラー「VCM-600」、オールインワンタイプのDJコントローラー「VCI-300」など、ベスタクスのコンピューターインタフェースを中心に展示が行われていた。

GUBER ACTIVE AUDIO CM」シリーズと「PMC-08PRO」のレッドバージョンは、ともに鮮やかで光沢感のあるレッドを採用していた

前評判の高かった「VCM-600」の実機を展示。ライブパフォーマンスに強いMIDIコントローラーとして人気がある

ブランドマークを入れたベースボールキャップやキーホルダーなど、今期はアクセサリーも展開していくという