3月12日から15日までの4日間、東京において『AsiaBSDCon 2009』が開催された。アジアで開催されるBSD国際会議としては4回目、日本で開催されるものとしては3年連続の3回目となる。カナダのBSDCan、欧州のEuroBSDConに続き、国際会議としての認知を獲得しつつある。

AsiaBSDCon2009 - 東京での開催は3回目

カンファレンスで扱われる内容は多岐に渡る。FreeBSDでいえば今回は組み込みの話題が多かった。powerpcやmipsの移植が進んでいること、FreeBSDも組み込みでの採用が伸びていることが背景にあるが、デスクトップから高性能コンピューティングまで扱っている内容は幅広い。

NetBSDではAntti Kantee氏のRumpによるネットワークスタックのユーザランド化が興味深い。彼はファイルシステムをユーザランドで動作させたりほかにも重要な開発を継続し、会議での発表も多い。

OpenBSDではTheo de Raadt氏がカンファレンスに参加した点が目を引いた。Theo de Raadt氏がほかの開発者と議論を交わす姿が多く目についた。

AsiaBSDCon2009 - チュートリアルデイを含めて4日間の開催

AsiaBSDConはチュートリアルの2日間と発表の2日間の計4日間で構成される。今回は日本人が参加しやすいように、日本語によるチュートリアルを設けたり、平日でも参加しやすいように夕方からのプログラムを設けるなど工夫も凝らした。AsiaBSDConは会議以外にも開発者や関係者が交流を持つ場所を提供するという目的があるため、できる限り参加しやすいように努められた。

国際会議によって開発者やユーザ通しの情報交換がスムーズになってきている感じがある。これまでネット上でしか交流がなかった部分を、フェイストゥーフェイスで向き合うことで円滑な受け入れが可能になってきていると感じる。普段は交流が少ないほかのOSと関連を持ついい機会でもある。

発表や会議、バンケットを通じて英語で議論できる日本からの参加者の数は確かに少なく、その点に関しては司会進行を務めた担当者からもっと積極的に参加するようにと促す場面もみられた。しかし言語の壁は高い。アグレッシブな会議が実現できるのはまだ数年先の話になりそうだが、それでもAsiaBSDConが重要な場所であり、参加するに足る会だという認識が広がっていることに注目したい。