また、開発拠点が日本に設けられたことのメリットとして大きいのが、日本語を含むマルチバイト文字への対応だ。従来、漢字圏の言語に対応したバージョンのソフトウェアやサービスは、文字コードの取り扱いに手間がかかるため、ローカライズが後回しになりがちだったほか、文字化けする、入力フォームに文字が入らないといった不具合がなかなか解消されないという問題が起きることもあった。

しかし、マルチバイト文字の取り扱いで長年ノウハウを積み重ねた日本で開発が行われることで、今後はグローバル版と大差ないタイミングでリリースが可能になっていくという。6.5搭載端末の国内投入時期について今の段階で言及できるのも、このような体制の変化があるからこそと言えるだろう。

デバイスとサービスの統合が課題

このように、「Windows Phone」の展開に向けた下地づくりは、順調に進んでいるように見える。あとは、このWindows Phoneと、Windows Liveブランドの各種Webサービス、そしてPCであるWindows Vista/7との連携・統合を進めることがミッションとなる。

Mobile World Congress 2009では、CEOのSteve Ballmer氏がプレゼンテーションを行った。PC / 携帯電話 / Webを"Windows"ブランドの製品・サービスで統合する戦略をあらためて説明

2008年、イー・モバイルが発売したTouch Diamondがすべての携帯電話の中で売上トップとなった時期があった(「BCNランキング」2008年10月第2週)が、多くのユーザーの目には、薄型で格好の良いタッチパネル携帯であることや、高速データ通信が定額で利用できることが大きな魅力として映っていたようである。逆に言えば、Windows Mobile搭載スマートフォンであるということは、店頭ではそれほど強く意識されていたわけではないのかもしれない。

また、最近はマイクロソフトから矢継ぎ早に新しいWebサービスが発表されているが、「Windows Live Hotmail」「Windows Live Messenger」のような歴史の長いサービス以外は、多くのユーザーによって広く使われているとは言い難い。

同社のサービスの魅力やPCとの親和性の高さによってWindows Phoneへの関心が高まり、Windows Phoneからアクセスしやすいという理由でWindows Liveの各サービスが選ばれるようになるという正のスパイラルを日本市場で生み出すことができるのか。それが、マイクロソフトのWindows Mobile事業に課せられた今後の課題となるのだろう。