中小企業にとって大きな問題となるのは、ITリテラシーをどのように植え付けていくかだ。長年業界で働いているベテランにとって、パソコンを業務に取り入れる事に対して、一種のアレルギーのような拒否反応が出てしまうケースも多い。「私自身が日常行っていることも、ヘルプデスクのようなものです。紙が詰まりました、ネットワークに繋がらない、といった簡単なトラブルを操作指導する。これを嫌がらず、すぐに駆けつけて対応し、安心させてあげることが大切なのです」と杉山氏。

「また、1つの部署やチーム内でキーマンとなる人材を見つけ、積極的にコーチングしておくのも良い方法ですね。今では、パソコンが得意な人材が意外と多いので、そういう人にあらかじめ操作方法などを教えておくと、周囲はその人を頼るようになります。頼られる方もうれしいですから、さらにスキルアップを図るようになるものなのです」と杉山氏は語る。

同社では、こうした努力と決して押しつけはしないという独自のスタンスによって、ITを無理なく社内へ浸透させていった。

その後同社は、最初のシステム導入から約10年で社員数は3倍、クライアントも約200台となり、システムのキャパシティが限界に近づいてきたため、2008年10月、Windows Server 2008とExchange Server 2007へのアップグレードすることになる。

「以前のシステムはWindows 2000 Serverをベースにしていましたが、現在のものとはレスポンスがまったく違いますね。やはりハードウェアの進歩に合わせて処理速度もかなり向上しています。これによって生産性も飛躍的に上がっています」と杉山氏は語る。

Windows Server 2008とExchange Server 2007をベースとした、現在のシステム

日本ロックサービスの今後だが、Webサーバ運用のノウハウを活かしたB to Cに向けたサービスの提供や、これまで培った中小企業におけるIT導入時のノウハウを同業他社などに提供していく試みも考えているのだという。「弊社は鍵を扱うセキュリティのプロです。その経験をITにも活かして、お客様に安心して製品を購入していただけるシステムを思案中です。また、お得意様の中にはITの導入に悩んでいる方も大勢いらっしゃいます。そういった部分でもお役に立てるように、ご相談を受け付けることも行いたいですね」と杉山氏は語った。