ベンチマーク
とりあえず、実際にAM3版Phenom IIの性能もテストしておきたいと思う。試したのはAM3版のPhenom II X4 810とPhenom II X3 720 Black Edition、それと比較用にAM2+版のPhenom II X4 940 Black Editionだ。X4 940は倍率変更で2.6GHz動作、つまり周波数のみX4 810と同等にしたテストも実施してみた。
■テスト環境 | ||||
CPU | X4 810 | X3 720 | X4 940 | X4 940@2.6GHz |
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CPU Clock | 2.6GHz | 2.8GHz | 3GHz | 2.6GHz |
M/B | GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H | |||
Chipset | AMD 790GX | |||
GPU | AMD 790GX | |||
Memory | Corsair CM2X1024-6400C4 (DDR2-800 1GB×2) | |||
HDD | Western Digital WD1500ADFD (10000rpm SATA II) | |||
OS | Microsoft Windows Vista Ultimate SP1 |
さて、テストはAM2+マザーボード上で横並び環境にして実施した。CPUコアの世代は変わっておらず、上位モデルでも無いため、試したベンチマークソフトは簡単にCINEBENCHのみで、あとはワットチェッカーによる消費電力の測定だけを行っている。
AM3版Phenom IIであればAM3マザーボードを使ったDDR3の数値も見てみたいところだが、DDR2-1066MHzとDDR3-1333MHzの差は、帯域幅テストのベンチマークで確認できる程度だろうし、アプリケーションベンチのスコアへの影響であれば、同じPhenom IIのモデル間の位置付けを逆転するほどの違いでも無いだろうから、今回は見送っている。
このあたりは、Phenom IIのフラグシップと言える様なAM3版Phenom IIが登場した際など、もう少しシビアな状況になったら詳しく検証してみたいと思う。ひとまず今のところは、AM2+マザーボードでもAM3版Phenom IIがキチンとSocket下位互換で動いている様子を確認していただければと思う。
本当は上位モデルが欲しいところ
さて、Phenom IIのパソコンを自作するシチュエーションを想像してみると、例えば既存のAM2+版Phenom IIのユーザーが、AM2+マザーボードを軸に性能向上を目的としたアップグレードパスとして今回発表のAM3版Phenom IIを選択するかというと、それはちょっと考え難い。
新規にPhenom IIを導入したいというユーザーにしても、現状ではマザーボードも含め総じて導入コストが比較的安価に済むAMDプラットフォームであるからこそ、最高性能のX4 940が2万円台で買えてしまうAM2+版の魅力が捨てがたい。
X4 940と同等以上のモデルがAM3版で発表されればすっきりしそうなものだが、AM3版で国内リテール投入される最上位モデルが、L3キャッシュが削減されたX4 810だということが悩ましさに拍車をかける。これでは、少なくとも性能面で言えば、メモリがDDR2からDDR3へと進化したメリットがあったとしても帳消しになってしまう。
一方で、電圧低下でTDPも軒並み下がっている関係で、省電力狙いのユーザーには有力な選択肢となっている点は評価したい。また、トリプルコアのX3 720は最新世代ながら価格が非常に安く、Black Editionでもあるので、期待値の大きいPhenom IIのオーバークロックを気軽に楽しみたいなら最適のモデルかもしれない。