WSHでできること

次に、WSHで具体的にどのようなことができるのかを、WSHで利用できるオブジェクトという観点からざっと見てみることにしましょう。オブジェクトとは、さまざまな道具(メソッド)が詰まった道具箱のような存在です。

WSHでは標準オブジェクトとして次のようなオブジェクトを公開しています。これらを利用することで、ファイルシステムの操作からテキストの読み込み、ネットワークドライバやネットワークプリンタの操作、環境変数、ショートカットの編集などを行うことができます。それぞれのオブジェクトを使った具体的なサンプルについては、この連載の中で徐々に紹介していく予定です。

オブジェクト名 概要
WScript WSHのルートオブジェクト。ホスト情報、スクリプトへの引数情報をはじめ、オブジェクトの生成や破棄などの役割を提供
WshArguments スクリプトに渡された引数情報にアクセスする手段を提供
WshController リモートコンピュータにあるスクリプトを実行するための機能を提供
WshEnvironment システム環境変数にアクセスする手段を提供
WshNetwork 共有プリンタ/共有ドライブへのアクセス手段を提供
WshShell アプリケーションの実行からレジストリへのアクセス、ショートカット作成など、Windowsシェルに関わるさまざまな機能へのアクセス手段を提供
WshShortcut ショートカットを操作するための手段を提供
WshSpecialFolders 特殊フォルダへのアクセス手段を提供
WshUrlShortcut インターネットリソースへのショートカットを操作するための手段を提供
FileSystemObject ファイルシステムへのアクセスからテキストファイルへの読み書きの手段を提供

WSHで利用可能な基本オブジェクト

その他、Windowsに標準で搭載されているオブジェクトを利用することもできます。具体的にはデータベースにアクセスするためのADO(ActiveX Data Objects)やサーバ通信を行うためのXMLHttpRequestオブジェクト、Windowsの利用状況やシステム情報にアクセスするためのWMI(Windows Management Instrumentation)、Internet Explorerを操作するためのInternetExplorer.Applicationオブジェクトなどがそれです。

更に、必要に応じて、サードベンダが提供する外部オブジェクトをインストールしても良いでしょう。これらオブジェクトはあまたありますが、たとえばMicrosoft Officeをインストールすれば、Word.Application、Excel.Applicationのようなオブジェクトを利用して、Word/Excel文書を動的に生成することも可能になります。また、メール送受信を行うならば、Basp21のような外部オブジェクトが有名です。

WSHでは、VBScript/JScriptなどスクリプト言語が持つ基本機能に加えて、これらオブジェクトを駆使することで、さまざまな処理を柔軟に記述することができるのです。