パナソニックは、International CES 2009開幕前日となる7日(現地時間)、プレスイベントを開催し、今後「3DフルHD」へ注力していく戦略を描くとともに、厚さわずか8.8mmという50v型フルHD対応プラズマテレビ、世界初というポータブルBlu-ray Discプレイヤーなども公開された。

3DフルHDにかけるパナソニックのメッセージ。「あなたはすでにHDにステップアップした。さあ、3Dに踏みだそう!」

Neo PDP Ecoで8.8mmの薄型プラズマテレビ

50v型で厚さ8.8mmという薄さを実現したプラズマテレビは、PDP(プラズマディスプレイ)の放電効率を従来比3倍に高め、電力ロスを3分の1に削減する省電力駆動方式を採用するなどの技術を投入した結果、部品点数の大幅削減、小型化・集積化により実現した。

50v型で厚さ8.8mmの薄型プラズマテレビ

この薄さ

さらに高速な無線伝送規格「WirelessHD」を使い、映像を無線で受信するため配線が不要になっている。

このパネルに投入されたNeo PDP Eco技術

このPDPの薄さを実現した技術は、「Neo PDP Eco」と呼ばれるもの。昨年に同社が発表したNeo PDPに、環境性能を加えた技術だ。従来比で電力消費量を半減させる「Neo LCD Eco」とともに、同社の今後のテレビ技術に投入されていく。

発売日などは現時点では特に明らかにされていない。

2010年にも3DフルHDビジネスを立ち上げ

今回のパナソニックが特に力を入れているのが3DフルHDだ。プレスイベントに加え、3DフルHDのプレス向けに体験会も設けており、積極的にアピールしている。米Panasonicの山田喜彦CEOは、従来の白黒テレビからカラーテレビへ、ブラウン管からフラットパネルへの流れに続き、「別のフェーズへのチェンジを開始する」のが3DフルHDだと話し、パナソニックのビジネスにも重要なインパクトを与えると強調する。

米Panasonicの山田喜彦CEO

この3DフルHD自体は、昨年10月に日本で開催されたCEATEC JAPAN 2008に出展されていたものだが、パナソニックでは普及のために、3DフルHDワーキンググループを、Blu-ray Disc Association、HDMI、MPEGといった業界団体へ設置していく意向だ。

フル3Dコンテンツの作成のために、ハリウッドの映画業界とも話し合いを進めているほか、3DフルHDのBlu-ray Discオーサリングシステムを開発しており、ハリウッドが3DフルHDのコンテンツを2010年にも提供できるよう準備を進める。

これは、同社がハリウッドに設置している「パナソニック ハリウッド研究所」(PHL)に「アドバンスドオーサリングセンター」(PHL-AC)を2月1日に設立、3DフルHD対応のBlu-rayコンテンツ制作の試作を行っていく。103型のプラズマ3Dシステム、380型の3D対応デジタルシアターも設置される。

また、映画「タイタニック」などで知られるジェームズ・キャメロン監督とも3DフルHDコンテンツ制作で協力していく。

3DフルHDエコシステムを構築するために、標準化、ハリウッドへのオーサリング環境の構築、ジェームズ・キャメロン監督との協業を進めていく

ビデオメッセージを寄せたジェームズ・キャメロン監督。3DフルHDへの期待を語る

今年は、こうした準備に同社がイニシアチブを取り、コンテンツ制作などの環境整備を進めていく考えで、実際のビジネスとしては2010年から展開される見込みだ。

今回のCESのブースでは、米国では初めての3DフルHDのデモが行われる。3DフルHD映像には北京五輪やディズニー映画などが使われており、専用メガネをかけることで、奥行き感のある3Dの映像を体験できる。

デモには、ジェームズ・キャメロン監督とともに「タイタニック」を作り上げたプロデューサーのジョン・ランドー氏が登場。タイタニックのオスカー像まで持参していた。現在、キャメロン監督とともに年末公開予定の3D映画「Avator」を制作中らしい

デモで配布された専用メガネ

Amazonから映画をダウンロード、屋外でBD視聴も

テレビへのコンテンツ配信では、従来同社はインターネット経由の配信サービス「ビエラキャスト」を提供。YouTubeやPicasa Web Album、お天気チャンネルなどを提供しているが、新たに米Amazonが提供する映画などのストリーミングサービス「Amazon Video On Demand」に対応する。

テレビとリモコンでネットの情報を画面に最適化して表示できるビエラキャスト

新たにAmazon Video On Demandに対応

ストリーミングのためにダウンロードの待ち時間などは不要で、これによって手軽に映画などを視聴できるようになる。コンテンツは4万タイトル以上が用意されている。

新サービスに対応した製品は今年前半から登場する予定で、Blu-ray Discプレイヤーでは「DMP-BD60」「DMP-BD80」「DMP-BD70V」の3製品、プラズマテレビでも3製品が同サービスに対応する。

Amazon Video On Demand対応プレイヤー

屋外でもBDが楽しめるポータブルプレイヤー「DMP-B15」

それ以外にも、世界で初めてというポータブルBDプレイヤー「DMP-B15」も公開された。8.9型WSVGA液晶を搭載し、HDMI経由でフルHDテレビに接続して映像を再生することもできる。

MP3やDivX、SDカード上のコンテンツの再生もサポートするほか、ビエラキャスト(Amazon Video On Demandは非対応の模様)に対応してYouTubeやPicasa Web Albumの情報を表示できる。