シャープのブースでは、ソーラー発電、亀山工場と2010年に操業開始が予定されている新堺工場の生産設備や、AQUOSシリーズのクリーン性能などについての展示が中心となっている。しかし、ここでは家電に関連した展示について紹介したい。

流体力学を利用し省エネ性能をアップしているルームエアコン「SX」シリーズ

食材の鮮度を保つことで無駄を防ぐ「SJ-KF50R」

同社のブースでは、10月1に発表されたルームエアコン「SX」シリーズや、9月に発表した「清鮮うるおい冷蔵庫」シリーズの「SJ-KF50R」なども展示されている。SXシリーズは、大きく開く室内機のカバーを羽根として利用する「ロングパネル」などの流体力学による気流制御を特徴とする製品。SJ-KF50Rは、除菌イオンシャワーと食品の乾燥を抑えるミスト冷却によって、食材の鮮度を保ち無駄を防ぐ製品で、どちらも省エネ性能の高いモデルだ。そして、その横には縦型洗濯乾燥機の「ES-TG820」が展示されている。他社のブースで展示されている洗濯機の多くはドラム式のモデルだ。同社でも、そういった製品はリリースしているが、それに比べるとグレードが下の、乾燥機能付き縦型洗濯機が展示されているのには、それなりの理由がある。

ES-TG820の横には、普段はあまり目にしない部品が展示されている。縦型洗濯機の水槽部分だ(我々が普段目にしているのはその内側にある脱水層だ)。この水槽はプラスチック製。同社では、2001年、家電リサイクル法の施行とともに、廃家電から回収したプラスチックの再利用をスタートさせている。製品に使用されている金属のリサイクルに関しては、以前よりそのインフラが完成していた。そこで各メーカーが次にターゲットとしたのがプラスチックというわけだ。

この水槽はちょうどその年にに作られた洗濯機に使用されていたものとのことで、その原料となっているのは、使用済みの製品から回収されたプラスチックだ。約6年間使用され、2007年の6月に同社のリサイクルプラントに届いたこの水槽は、またリサイクルされ、新しい製品の水槽に使用される。それが使用される洗濯機が、ES-TG820ということだ。同社によると、プラスチックのリサイクルにより、現在までに累計でドラム缶にして約9万5,000本分、約1万7,000m3の原油消費量を削減できているという。

それだけではない。製品に使用されている部品は、その製品のライフサイクルに合わせてそれぞれの耐久性が決められている。それらのパーツが、実際に使用された状況でどれほど摩耗したかというデータを、これらの廃家電から得ることができるのだという。これら廃家電から得られるデータは、設計がどれだけ適切だったのかの検証材料にもなるうえ、次の世代の製品の開発にも活かされる、同社にとって別の意味での資源にもなっているとのことだ。

廃家電からリサイクルされたプラスチックは、次の製品へと循環していく