Symbian Foundationは11月20日、都内で記者会見を開催し、日本でのSymbianのビジネスとSymbian Foundationの方向性を明らかにした。

Symbian Foundationは、携帯電話用OSの「Symbian OS」を核にした統一プラットフォームの推進と、オープンプラットフォーム化を目指す団体。これまでに世界中で52社か支持を表明していたが、今回、新たに7社が支持を表明し、合計59社が計画への支持を表明したこととなる。

今回表明した企業は、中国Borqs、ポーランドComarch、スウェーデンHiQ International、印Larsen & Toubro Infotechのほか、日本の管理工学研究所、ルネサス テクノロジ、ソフトバンクモバイルの3社となっている。

現在、日本では2003年の初出荷以降、累計で94機種の携帯電話がSymbian OSを採用し、2008年9月には累計4,000万台が市場に出荷され、2009年中には100機種を突破することが予定されている。

国内累計で94機種にSymbian OSが搭載(2009年には100機種を突破する)

時系列別による日本での搭載端末一覧

シンビアン代表取締役社長の久晴彦氏

日本法人であるシンビアン代表取締役社長の久晴彦氏は、「Symbianのビジョンは、地球上で一番広く使用されるOSを目指すこと。これまで日本のパートナと一緒に活動してきたが、Symbian Foundationにより、より広く使用されることを目指し、日本メーカーが海外に進出しやすくなる手助けをしたい」とする。

また、全世界では「すでに250機種を超す携帯電話が市場に出回っており、さらに100機種以上が現在、開発を進める状態にある」(Symbian FoundationのExective DirectorであるLee Williams氏)であり、「Symbian Foundationの取り組みを進めることにより、インターネットを次のレベルに引き上げることが可能となり、モバイルということがインターネット接続の柱となる」(同)とする。

会場には国内外のSymbian OS搭載系帯電話が置かれていた

Symbian FoundationのExective DirectorであるLee Williams氏

日本市場についてWilliams氏は、「重要な市場」とし、日本のユーザが重視する性能と品質に対し、「世界で一番そうした面で厳しい日本の市場でSymbian が受け入れられれば、世界中で受け入れられる証拠となる」(同)とする。

Symbian Foundationの予定としては、2009年の前半にソフトウェアのディストリビューションを行い、2010年にはオープンソース化を行うという。これにより、携帯電話メーカーなどは、システムの根本的な部分などを扱わないで済むようになり、より差別化に向けた取り組みが可能になる。

「ビジネスのエコシステムとして考えれば、カスタマがソフトウェアの開発を行うことに対し、ちきんとしたROIが出るようにしていく」(同)としたほか、Symbian Foundationの支持をする日本企業が増えたことに対しては、「日本でのサポートが拡がりを見せてきた。こうした支持企業は、世界でのプレゼンスも拡大していくはず」(同)と語り、Symbian OSに対応したユーザーインタフェースであるNokiaの「S60」、Sony EricssonとMotorolaが出資するUIQ Technologyの「UIQ」、NTTドコモの「MOAP(S)」の統合を進めることで今後もイノベーションを拡張させ、もっともオープンなモバイルプラットフォームを提供することで、顧客満足の向上を図っていくとした。

Symbian Foundation支持企業の一覧

なお、統合化は、Symbian OSとS60をベースとし、そこに無い機能をUIQとMOAP(S)から移植して行う予定としている。

NTTドコモの移動機開発部 部長 常任理事の三木俊雄氏

このほか、同席上には、NTTドコモの移動機開発部 部長 常任理事の三木俊雄氏も出席、Symbian Foundationへの期待を語った。

同氏が語った期待の主な点としては、以下の3点。

  1. 共通プラットフォーム化によるプラットフォーム開発の効率化ならびにグローバルなエコシステムの形成

  2. グローバルなエコシステムによるソフトウェアのバリエーションの拡大、および端末開発の効率化とそれに伴う魅力的な端末の早期提供

  3. まだ具体的に決まっていないが、日本事務所が設立された場合の日本のエコシステムパートナへの継続サポートと市場からの要望のSymbian Foundationへの反映

NTTドコモとしても、従来の端末の構成であるSymbian OS上にMOAP(S)を載せる、という形式ではなく、Symbian OSの上にグローバルアプリとして基本的なアプリケーションをSymbian Foundationから提供を受け、それと平行する形でFOMA特有のアプリケーションをドコモから"オペレータパック"として提供、これにより各端末メーカは独自の特長を出すことに注力できるようになるほか、ソフトウェアの共通化による端末価格の低減、国内端末メーカの海外進出、海外端末メーカの国内参入などが期待できるという。

3つのUIとSymbian OSをプラットフォームとして統一する

NTTドコモとしてもプラットフォームが変わることにより、FOMA特有のアプリケーションをパッケージ化する

なお、ドコモの三木氏は、複数あるオープンプラットフォームの活動に対し、「ドコモはオープンプラットフォームに賛同し支持していく立場」とし、Symbian Foundation以外も支持していくとした。