The Linux Foundationが米国時間の10月21日にLinuxディストリビューションの開発費用を分析した「Estimating the Total Development Cost of a Linux Distribution」を公開した。同レポートによると、Fedora 9の開発費用を米ドルで評価すると約108億ドルの価値があるという。Linuxカーネルだけでは14億ドルと算出している。

今回リリースされたレポートは、2002年にDavid A. Wheeler氏がRed Hat Linux 7.1を対象に調査したレポートのアップデートとなる。Wheeler氏が使用したツールと手法を踏襲しながら、Amanda McPherson氏、Brian Proffitt氏、Ron Hale-Evans氏らが今日のケースでLinuxディストリビューションの開発手法を再評価した。

開発費用は、SLOCツール、SLOCCountを用い、COCOMO (COnstructive COst MOdel)をベースに算出された。Fedora 9は5547のアプリケーションパッケージ、2億450万ラインのコードで構成されており、開発努力は60000 person-yearsに近く、開発コストは108億ドルとなる。Fedora 9のLinuxカーネルのコード数は680万ラインで、開発努力は7500 person-yearsを超える。

これらの数字から伝わってくるのはLinux開発コミュニティの規模の急速な拡大だ。2002年のWheeler氏のレポートでのRed Hat Linux 7.1の開発費用は12億ドルだった。コード数は3000万ラインで、8000 person-years。Red Hat Linux 7.1に比べてFedora 9は、サイズで約680%、開発努力で約750%、開発コストで約900%の増加となる。「これは成熟した、または成熟過程にあるオープンソース/ フリーなソフトウエアプログラムが増加し、世界中で利用できるためだ。そのような成長がLinuxの爆発的な勢いにつながっている」としている。過去2年間で約200企業から3200人以上の開発者がLinuxカーネル開発に協力し、さらに多くがディストリビューション開発に貢献してきた。R&Dとライセンスのコスト削減のためにコラボレーティブな開発に取り組む企業の増加を示した上で、「以前は独占的な地位によって莫大な開発費を利用できた。今後はコラボレーティブな力からの競争に直面し、そのような独占的な力は発揮できなくなるだろう」とまとめている。