体験すると感動できる高速撮影

――実際に体験してみると高速撮影はとても楽しいですね。

小野田「1秒間って普段は一瞬なんですけど、ハイスピードムービーで撮るとゆっくり見られるじゃないですか。そうすると、例えば子どもの微妙な表情とか、普段は見られない変化があるのを改めて発見できて感動しますよね。蝶を撮影しても、普段は見られない羽が開いていく瞬間が見えるんです。EX-F1の公式サイトに風船に水を入れて破裂させるサンプルムービーを掲載しましたが、人の顔に水の入った風船をぶつけると、風船が割れるタイミングがすごく面白いんですよ。風船が顔に粘るように貼り付いて、それから割れていく様子がはっきりわかるんです。それに、スポーツのテクニックを見るときも、連続写真だけではコマが抜けてわからなくなってしまうので、ハイスピードムービーが活用できます。

そうした高速撮影の感動をもっと多くの人に感じて欲しいんです。EX-FH20は、小学生くらいのお子さんがいて、サッカーや野球などのスポーツを楽しんでいるようなユーザーさんに向けた製品です。シャッターを押した時間から遡って記録するパスト連写機能を搭載し、試合中のお子さんのナイスプレーなど撮りたい瞬間が過ぎてからシャッターを押してもちゃんと撮れますので、画期的な機能ではないかと思います。

また、5fps程度では撮れなかったものが、40fpsになって撮れるようになるんです。新聞でも、サッカーでボールを蹴っている瞬間の写真っていうのは少なくて、蹴る直前とか、蹴った直後が多いですよね。高速連写はコマ数が多いことで蹴る瞬間という決定的瞬間を逃さないようになります」

連写を使った特殊撮影機能も搭載

――高速連写を活かした撮影機能も搭載されていますね。

小野田「高速連写を応用した機能として『ハイスピード夜景』を追加いたしました。普通、夜景を三脚なしで撮るとブレてしまいます。そこで高速で連写したものを位置合わせして合成するとブレていない写真ができあがります。1枚1枚の画像は露出アンダーでも、重ねることで明るさが加算されるんです。三脚で撮ればもちろん間違いないんですけど、夜景を撮る時に三脚がないということも多いと思いますので、コンパクトユーザー向け機能としてはなかなかいいと思っています。

ハイスピード夜景で撮影した夜景。焦点距離は167mm相当。手持ちでこれだけきれいな写真が撮影できる

通常設定で何枚か撮影したものの中の1枚

また、EX-F1にも搭載している機能ですが、『デジタル流し撮り』モードも採用しています。この機能では、被写体だけを位置合わせし、背景は位置合わせせずに加算するため、きれいに流れたような写真が撮れます。

最後に『マルチモーション』という連続写真を作成する機能があります。40fpsで30枚撮影しまして、その中から重なり具合が適当なところを5枚抜き出し、合成した背景の上に5コマ分の被写体をくりぬいて重ねるという処理をしています。跳び箱やモーグルのジャンプの撮影をするのにとても便利です。また、スノーボーダーの方は、こうした連続写真をPhotoshopなどで加工して作られている方も多いらしいので、そういう方にもお勧めできます」

デジタル流し撮りモードで撮影。非常に迫力のある絵が撮影できた。シャッター速度は1/40秒

マルチモーションで撮影。ビー玉が転がる様子が連続で映し出された

HIGH SPEED EXILIMの次期モデルは普及モデルに

――今後の方向性などを教えていただけますか?

小野田「"ハイスピード エクシリム"シリーズを、よりコンシューマ層に認知させていきたいと思っています。そのためにも、まずは"ハイスピードジャンル"という新しい市場を作っていかなければいけないと考えているので、裾野を広げていくというイメージですね。もちろん第3弾の開発も着々と進めていますし、上位機もやっていかなければいけないと思っています」

――本日はありがとうございました。