では、Nokia本体との連携はどうか。各ビジネスプログラムにエグゼクティブ・スポンサーを設ける。エグゼクティブ・スポンサーはガイドや支援をする役割を持ち、Nokiaでエグゼクティブレベルに就いている人が担当する。

Nokiaはブランド力、携帯電話の普及率、ディストリビューションチャネル、パートナー、開発者コミュニティを持つが、これらは新しい事業を展開するにあたり心強い資産となる。Nokiaに入社する前にベンチャー企業に勤務したというPaavola氏は、「名刺だけでも違う。Nokiaの名刺なら門前払いはない」と笑う。

新しいビジネスプログラムは、中国、インド、フィンランド、米国などではじまっており、近いうちに日本でも開始したいという。

ベンチャー投資企業Nauta Capitalによると、モバイル業界の市場規模は、端末が1,000億ドル、サービスが8,000億ドル。モバイルゲームは2,120億ドル、モバイル音楽は860億ドルなどの周辺事業を加えると、なんと1兆7,000億ドルにも膨れるという。「モバイルには、幅広い分野で大きな事業機会がある」とPaavola氏。

Nokiaが興味を持っている分野は、財務サービス、ヘルスケア、教育、ホーム、物理世界との接続などという。Paavola氏は最後の物理世界との接続として、「Point&Find」を数カ月後にローンチすることを発表した。身の回りにあるモノを携帯電話のカメラ機能でポイントし、その情報を得るというものだ。「物理世界にあるオブジェクトに関する情報をシンプルに取得できる」とPaavola氏。

Point&Findは、数年前に研究開発プロジェクトがスタートし、研究だけでなく、買収を経て成長させた。当初は映画のポスターで提供される予定だが、さまざまな可能性がある。タクシーをポイントしてタクシーを呼ぶアクションに結びつけられるかもしれない。空をポイントして天気情報を得る、レストランをポイントしてレビューやメニュー情報を取得する、なども考えられる。これを利用して、ブランドや企業はユーザーのエンゲージを強化するようなキャンペーン/広告を展開できるとNokiaは見ている。「インターネット広告は、測定とユーザー特定というオフライン広告にはないメリットがあるために成功した。携帯電話により、屋外でもバーチャルに広告が打てる」という。