人肉捜索は検索技術の未来型か

インターネット利用者が出没する主な場所として、コミュニティサイトは、アクセス数の多さ、ユーザー定着度の高さだけではなく、そのインタラクティブ性の高さから非常に魅力的なサイトだ。

最も重要なのは、コミュニティに集まるインターネット利用者のニーズの先に、インターネットの次の発展方向があると考えられることだ。検索とコミュニティとの結合である人肉捜索がその実例だ。検索技術発展の方向性から見ても、検索サービスのプロバイダー同士の競争という観点から見ても、人肉捜索が今後の焦点となることは間違いない。 Googleも今年4月、Google「人肉捜索」を開設。同サイトでは、利用者が知りたいことを提起し、ボランティアが調査して回答するという方式をとるとしている。

なぜGoogleが「人肉捜索」エンジンを設立するのかという問いに対し、Google側は以下のように回答している。

「中国市場に進出してから、一貫して現地ユーザーのニーズに基づく検索システムの開発に取り組んできた。われわれは、自発的で分散的、かつ自然発生的とさえ言うべき人肉捜索が中国におけるインターネット誕生の初期から存在し、しかも勢いよく成長してきていることにかねてから注目してきた。当面中国のインターネット世界で発生するほとんどの重大事件、とくに娯楽要素の強い事件は、すべて人肉捜索の試金石になる可能性がある。大多数の人々のレクリエーション生活を豊かにするため、そして、より多くのインターネット利用者に最も短い期間内に世界レベルの人肉捜索を体験してもらうため、当社は巨額の資金を投入、アジア・太平洋地域で最大の人肉捜索エンジンを築き上げていく」。

人肉捜索はとっくの昔にGoogle中国の事業計画に入っていたわけである。Googleは今年のエイプリルフールに、ジョークで人肉捜索エンジン志願者の公募広告を出したほど。実際のところ、Googleの人肉捜索がGmailの弟分にまで成長する可能性はあるのだ。

百度知道など多くのQ&Aサービスが登場

Googleをはじめとする既存のサーチエンジンは、必ずしも全ての人々の検索に対する欲求を満たせるわけではない。そもそも、サーチエンジンが、ユーザーの入力するキーワードだけで、ユーザーの真の検索意図を理解できるはずはないのだ。

従って、各サーチエンジンの、Pagerankマシンにもとづく検索結果だけでは不十分な場合が多いわけである。現在、中国のインターネットコミュニティは驚異的なスピードで発展している。とくにSNSの「Facebook」「MySpace」のような人脈依存型ネットプラットフォームに人気が集まっており、ある程度近未来のネット生活の雛形が見えてきている。このような人脈サイトを通じ、日常出くわす問題の解答を得よう、解決の道を探ろうという在り方が普通になってきている。

人間の参加により、現在の検索水準を大幅に改善したいという期待から、さまざまな人肉捜索エンジンが登場した。その中には、多くのQ&Aサービス、例えば「百度知道」「QQ問問」「新浪愛問」「ヤフー知識人」などがある。

また、人工的に検索結果を選別する「ChaCha」、さらには、Peoplerankというコミュニティ検索技術を応用したサイト「奇虎(Qihoo)」に開設された「問題あったら奇虎に聞け」という名の質疑応答サービスもある。このように、広義の人肉捜索には極めて大きなビジネスバリューが隠れていると業界筋は見ている。