日本オラクル 遠藤隆雄社長

日本オラクルは、2009年5月期第1四半期の連結業績を発表した。売上高は対前年同期比11.6%増の277億円、営業利益は同3.3%増の80億8,500万円、経常利益は同2.5%増の81億8,500万円、当期純利益は同2.8%増の48億1,700万円だった。稼ぎ頭であるデータベースはほぼ横ばいだったが、ライセンスのアップデートと製品サポートの部門では2桁成長を果たし、ソフトウェア全体では同8.6%の伸長となった。同社の遠藤隆雄社長は「データベースは、新たな価値提案が受け入れられ、より高機能な製品が売れている」としている。

データベースが属する「データベース&ミドルウェア」部門の売上高は全体としては同0.5%減の75億1,900万円で、全体に対する構成比は27.1%だ。「ミドルウェアは微減だったが部門全体としてはほぼ前年並み」(野坂茂 専務最高財務責任者)となった。顧客向けライセンスのアップデート、保守サービスを提供する「アップデート&プロダクト・サポート」部門は同16.8%増の142億2,000万円だった。この四半期からは、米オラクルが買収した企業の製品、サービスを国内で統合する、日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)とともに、同じく買収した米BEA Systemsの日本法人である日本BEAシステムズの業績も一部反映されている。

日本オラクル 専務最高財務責任者 野坂茂氏

サービス部門は、ライセンスの導入を担うコンサルティングサービスが同28%増の31億3,500万円と大きく伸びるなど貢献しており、部門全体では同29.6%増の45億4,400万円となった。また、予防的なサービスを提供するアドバンスト・サービスも同54.2%増の6億4,900万円と大幅増だった。「サポートは堅調で他のサービスも目標に対し上ぶれ」(野坂専務)で、同部門は「増収傾向が第2四半期意向も継続する見通し」(同)だ。

営業利益は、売上規模の拡大を受け、前年同期比2億5,600万円増加したが、営業利益率は29.2%に低下している。これは、ソフトウェアプロダクト部門に比べ、人件費など原価率の高いサービス部門の売上が増加したことや、買収した企業の製品などの売上増により、支払うロイヤルティ金額の増加で、売上原価率が上昇したこと、日本BEAシステムズからの出向受入で人件費も純増したこと、さらに、7月末に完成した新本社ビルの減価償却費の増加などで販売費/一般管理費が増加したことなどが背景にある。ただ「移転費は、当初の予想より大幅に低くなった」(同)という。

米Oracleが近年、積極的な買収/合併を繰り返したことにより、同社は幅広いビジネスアプリケーションの品揃えを実現「5年間で、製品の数は数10倍」(遠藤社長)に拡大、「すべての領域で、先進的な技術と製品を備え、トータルバリューを提供できる」(同)ようになった。なかでも「今後の成長ドライバーになるのは、ミドルウェアとアプリケーションであるのは明白」(同)だが、ビジネスアプリケーションは未だ、売り上げ構成比で5.1%(今四半期)だ。

遠藤社長は「ERPの周りにある、BI、CRMといった強い競争力のある製品がそろっている。(買収した)ハイペリオンのEPMなどは市場からの引きも多く、これらを切り口にERPの伸長につなげていきたい。もうひとつの要素はSOAだ。オラクルのSOAの先進性を武器にして切り込む」と指摘、「データベースは評価を受けて採用されているわけだが、他の製品は、さらに強く提案していかなけらばならない」と語り、ビジネスアプリケーション分野に、さらに積極的に注力していく姿勢を鮮明にしている。

同社は中期経営計画として「トランスフォーメーションプラン」の策定を進めている。ここでも「できるだけ多くの案件を見つけ参戦し、提案能力を高め、ソリューションを強くする」(同)ことが基盤になる。サービス部門が伸びているが「ソフトウェアプロダクトの成長が、サービス事業の成長につながる」ことになり、いっそうの営業力強化を目指す。その一環として「パートナーと戦略を共有し、協業体制を強くする」(同)意向だ。

今後の営業カバレッジ体制。「データベースからアプリケーション、サービスまで"一気通貫"で提供することを目標にしたい」(遠藤社長)

今後もビジネスの主体は、「あくまでソフトウェアプロダクトであり、コンサルティングなどのサービスはそれに伴って伸ばす」(遠藤社長)