韓国ネティズンの60%以上は、インターネットでテレビや新聞、ラジオを利用している――このような実態が、調査によって明らかとなった。
インターネット利用率は76.5%
韓国政府の放送通信委員会と韓国インターネット振興院は「2008年 インターネット利用実態調査」を行い、この結果を発表した。これは1万7,000世帯における、満3歳以上の構成員4万1,466人を対象に行われた調査だ。
これによると満6歳以上のインターネット利用率(最近1カ月以内のインターネット利用者の比率)は77.1%となった。この数値は年々増加傾向にあり、今回も前年に比べ0.8%増加している。ただし飽和状態の最近では増加率も小幅だ。
また、満3歳以上の利用率は76.5%。この数値も年々小幅ではあるが、増え続けている。
利用率を年齢別で見てみると、もっとも高いのは10代から30代で、いずれも90%以上だ。10代と20代にいたっては、ほぼ100%に近い状態となっている。
学生だけでインターネット利用率を区分してみると、大部分が99%以上で、大学生に関しては100%だった。インターネットは遊びや趣味だけでなく、調べものや学習の道具としても使われているため、学生にとっては必須のアイテムなのである。
次に多いのは40代および3~9歳の82.0%、82.2%だ。40代ならばまだしも、小学校低学年以下の9歳以下の利用率がこれほど高いというところから、韓国のインターネットユーザーの層の厚さが伺える。
増える、インターネットメディア利用
インターネットで動画や音楽などのマルチメディアを楽しむ人が増えている中、今回はその利用状況についても調査が行われた。
満6歳以上の、オンラインでのテレビ/ラジオ/新聞/書籍・雑誌/映画鑑賞の利用状況を調べてみたところ、いずれか1つでも利用している人は63.4%にのぼった。これはインターネット利用者の82.2%に該当する。
もっとも多く利用されているのは新聞で59.7%だった。その後に映画鑑賞、書籍・雑誌などが続いている。
新聞ではオンライン・オフライン両方をチェックしている人がもっとも多いようだ。ただし利用頻度ではオンライン新聞の方が頻繁で、少なくとも1週間に1回以上読んでいる人は、オフライン新聞利用者よりもオンライン利用者の方が多かった。
オフラインの新聞は購入しなければ見られない半面、インターネット新聞は購入せずともインターネット上で見られる特徴がある。また記事に対するコメントも書き込めるほか、情報更新も速いといったメリットもある。こうした手軽さや便利さが、オンライン新聞を利用させている要因と考えられる。
また映画鑑賞に関しては、オフライン利用者は少なくとも1週間に1回以上映画を見る人が12.2%に過ぎないのに対し、オンライン利用者ではこれが34.6%と3倍近くになっている。これも料金的な面、手軽さなどによるものと思われる。
一方で不法性のあるWebサイトから、映画ファイルなどをダウンロードして見ている人が、割合多いというのも韓国ならではの問題だ。満12歳以上のファイル共有サービス(P2PやWebストレージなど)の利用者は26.5%。このうち78.7%が音楽、74.3%が映画ファイルを取り扱ったことがあると回答している。
オンライン共有サービスがすべて不法とは言えないが、一定額の料金を支払って利用しているという人は31.0%にとどまっている。またファイル共有サービスの利用によって、音楽CDなどを購入する頻度や映画館に行く頻度が減っているという調査結果も出ている。
これは先に出た新聞や映画などのメディアにも言えることだが、オフラインのサービス提供者には少なからず打撃があると考えられる。
韓国はインターネット大国であるという印象を、強めることとなった今回の調査。年齢を問わず、学習用・趣味用にと多様な用途でインターネットが利用されていることが分かり、メディアリテラシーが高いことが明らかになった一方、不法ファイル共有、オフラインサービス利用減少などの問題も浮き彫りとなった。それでも今後も、手軽かつ便利で安価にサービスを利用できるオンラインサービスは、活発に利用されていくことが考えられる。