GoogleとYahoo!は今年6月、米MicrosoftによるYahoo!買収を回避するため、検索広告で提携した。この提携の下、Yahoo!はGoogleの検索広告システムを利用することになっており、今年10月にも、ユーザーにYahoo!の検索結果と連携したGoogleの広告サービスを提供することが決まっている。

この提携の地域は米国とカナダ市場に限定される。現在米国の規制当局が独占禁止法調査を進めているが、その影響力の大きさからEUでも調査を開始することになった。EU競争委員の広報担当は英Reutersに対し、調査開始を認めている。

これにあわせ9月15日(フランス時間)、フランスに本部を持つ世界新聞協会(WAN)は、この提携について、米国、カナダ、EUの3つの独禁法監視当局に調査を求めたことを明らかにしている。WANは新聞業界団体で、世界77カ国の全国紙組織が加盟、約1万8000紙を代表する組織だ。

WANによると、「GoogleとYahoo!が現在保っている競合関係は、加盟企業が自社ウェブサイトでオンライン広告による適切なリターンを得るのに重要だ」と主張している。ニュースサイトの多くはオンライン広告から収益を得ているが、この提携により、Yahoo!の競争力は衰え、Googleに乗り換える広告主が増加すると予測、Googleの独占状態がさらに強くなると見ている。「競争は深刻な悪影響を受け、加盟企業は売り上げが減少し、費用が上昇するだろう」と述べている。

さらに、GoogleとYahoo!の提携は北米に限定されるが、欧州のWAN加盟企業は北米でも展開していること、この提携の副次的作用は欧州にも及びうる、などの理由から、欧州の新聞出版業界にも大きな影響が出るとWANは述べている。

WANでは、欧州の検索広告におけるGoogleとYahoo!の合計シェアは95%と見積もっている。

米国の全米広告主協会(ANA)も今月に入り、2社の提携に反対する書簡を米司法省に送っている。

EUによる予審調査には、期限は設けられていない。