マイクロソフトは28日、次世代Webブラウザの最新ベータ「Windows Internet Explorer 8」ベータ2(IE8)のプレス向け説明会を開催。「Internet Explorer 8: ホーム ページ」において、ダウンロードと製品情報の提供を始めた。

プレス向け説明会では、マイクロソフト ビジネス Windows 本部 本部長 中川哲氏が概要を説明。IE8は初めて尽くし。日本語表記が「エクスプローラ」から「エクスプローラー」と初の音引きとなったほか、IE8としては初の日本語版。ベータ1では一部機能のみの提供だったが、今回のベータ2ではすべての機能を実装した初のバージョンになったとした。その上で、「速い」「便利」「安心」と3つの特徴を紹介。コンテンツの大容量化、Ajaxなど処理の複雑化から速さに対するニーズが強まったことに対応。さまざまなアプリが動作するように便利に、業務での利用でも安心して使えるようになった。標準準拠、互換機能を重要視した開発を進めてきたとした。

「Windows Internet Explorer 8」の概要を説明するマイクロソフト ビジネス Windows 本部 本部長 中川哲氏

「速い」「便利」「安心」の3つが特徴となっていると説明

詳細な機能を説明するマイクロソフト ビジネス Windows本部 シニア プロダクトマネージャー 原田英典氏

続いて、マイクロソフト ビジネス Windows本部 シニア プロダクトマネージャー 原田英典氏が詳細を解説。対応OSは、Windows XP SP2以上、Windows XP Professional x64、Windows Vista(32bit版および64bit版)/SP1(32bit版および64bit版)、Windows Server 2003 SP2(32bit版および64bit版)、Windows Server 2008(32bit版および64bit版)と説明。

IE8では、標準準拠を重要視。特にこれからの標準となるCSS 2.1に対応させた。もし、IE7対応サイトであれば、コンテンツ内のMETAタグ、もしくはHTTPヘッダでIE7対応と指定することでIE7標準モードを使って表示できるよう、IE7との互換性を持たせている。IE7未対応サイトであれば、CSS 2.1に対応することで正確に表示できるようになる。

スクリプトの処理速度がかなり改善されている。起動速度も速い

機能面では「速い」「便利」「安心」の詳細を説明した。速度ではHTML解析とスクリプト処理を高速化。いままでHTMLを上から順に読み込んでいて、スクリプトの解析があった場合、その解析が終わらないと次に進まなかった。IE8では、スクリプトの解析をしながら次を実行。これにより、実行速度が速くなった。スクリプト処理自体も、IE7の5倍に高速化している(Sun Spider JavaScript BenchMarkで測定。複数回の検証による平均値で比較)。

便利機能としては、ブラウザの操作を簡単にする新機能を実装した。アドレスバーでURLを入力する場合、いままでは文字を入力するとオートコンプリートにより過去に入力したことがあるURLの一覧が表示されていた。IE8では、お気に入りや履歴からも候補を表示するように機能強化。検索では、検索ボタンを押す前に候補を表示するように変更された。

新しい検索機能では、文字を入力するだけで候補を表示してくれる

「Web Slice」に対応しているサイトでは、一部だけを切り取って保存可能。ページ全部を表示させなくてもタブから更新を確認できる

さらに新機能として「アクセラレータ」「Web Slices」を搭載。「アクセラレータ」は選択したWebサイト内の文字列を選択すると、ページを移動せずにその文字列をキーワードとしたWebアプリが利用できる。たとえば、サイト内に住所があった場合、その住所を選択すれば新たにタブを作成しなくても地図が表示できる。「Web Slices」では、Webページの一部分を切り取って保存可能。サイトで対応する必要があるが、わざわざそのページを開かなくても、サイトのその部分の最新情報だけが確認できるようになる。

安心機能では、インターネットを安心して利用するための新機能として「SmartScreenフィルター」「自動クラッシュ復元機能」「InPrivateブラウズ」を搭載。「SmartScreenフィルター」は、フィッシングサイトなどを表示しようとしたとき、危険性のあるファイルをダウンロードしようとしたときに警告を表示。クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃も判別可能だ。

危険なサイトからファイルをダウンロードしようとした場合、警告を表示する。危険なサイトにアクセスする場合にも警告が表れる

XSSフィルターにより、クロスサイトスクリプティングを判別。通常はONになっている

また従来は、複数サイトをタブ表示している際にあるタブが異常終了すると、すべてのタブが終了する場合があった。IE8は「自動クラッシュ復元機能」により、そのタブだけを終了しほかのタブには影響を及ぼさないようになった。

ネットカフェなど第三者も使うPCでIE8を利用する場合、インターネットバンキングなどにアクセスした後に、ほかの人が使ってもどこにアクセスしたのか、何を入力したのか知られないようにするには、クッキーや履歴を削除する必要があった。「InPrivateブラウズ」なら、クッキーやキャッシュ、履歴を残さずにIEが利用できるようになる。

マイクロソフトは、IE8リリースに向けさまざまな活動を行う予定。オンラインバンキングなど生活に密着しているサイトや閲覧の多いWebサイトにIE8対応を呼びかけたり、「アクセラレータ」や「Web Slice」などの最新機能に対応するように呼びかけたりする予定だ。正式版は、ベータ2のフィードバックの状況によりリリース日を決定するとのこと。