日本オラクルは8月6日、グリーンITをテーマにしたセミナー「Oracle Green IT Forum 2008」を開催した。日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長である三澤智光氏は「ビジネス視点のITからグリーンITを考える」と題して、Oracle Corporationの取り組みとオラクル製品を活用したグリーンITの実現について語った。

年間約1000億円のコスト削減

グリーンITという言葉には、2通りの意味があるという。ITの活用によって省エネルギーを実現する「Green by IT」と、IT設備による消費エネルギーを削減することで実現する「Green of IT」だ。この両方に取り組むことが、企業のグリーンIT達成には必要となる。

Oracle Corporationの場合は、インスタンスの統合を進める「Oracle Global Single Instance」に取り組んできたという。1998年には40あったデータセンターは、現在ではバックアップ環境を含めて2つになり、65あった会計アプリケーションインスタンスも1つになっている。また、ビジネスプロセスの標準化とスリム化、バックオフィス業務のシェアドサービス化などにも取り組んだことで、年間約1000億円のコスト削減が実現されたという。

日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏

「結果として大きなエネルギー使用量削減を実現している。特に業務やM&Aの効率化に効果的だったのは、ビジネスプロセスの標準化。最初は日本のやり方と合うわけがないと抵抗を感じたが、本当に困ることがあるならば自分に直接言うように、というCEOの通達があり、黙るしかなくなった。それくらいガバナンスを効かせての取り組みだった。実際に標準化されてみると、意外にも困ることはほとんどなく、非常に効率的になった」と三澤氏は体験を語った。

サーバの省エネ化

また、データベースシステムのグリーン化を実現するための製品を豊富に提供していることも紹介された。データベースシステムのグリーン化に求められることをサーバの省エネ化とストレージの省エネ化に分けた場合、サーバの省エネ化を実現するものとしてオラクルでは各種仮想化技術を提供している。仮想化によって1台のリソースを複数システムで利用することを実現する「Oracle VM」、複数台のリソースを1つのシステムで利用する「Oracle RAC」、ストレージマネジメントソフトウェア「ASM」、アプリケーション運用効率化を実現する「Oracle Enterprise Manager」などだ。このうち、「Oracle VM」は無料でダウンロードして利用することができ、「ASM」はOracleの標準機能として提供される。

Oracleが提案する仮想化テクノロジー

ストレージの省エネ化

データベースストレージのグリーン化は一般的なストレージ圧縮技術では対応できないと三澤氏は語る。 「ストレージ技術による圧縮は、ファイル単位や表単位で行われるため、アプリケーションのアクセス時に圧縮・解凍のオーバーヘッドが発生する。これに対して、オラクルが提供するOracle Advances Compressionはデータ処理を行い最小単位で圧縮するため圧縮したままのデータ処理も可能となり、オーバーヘッドは最小限で済む。ILMに関しても、ストレージではシステム日付を基にライフサイクルを管理するが、データベースに必要なのは注文日などアプリケーションで管理される日付でのライフサイクル管理。これを実現するものとしてOracle Partitioningを提供している。データベースのグリーン化を実現できるのはオラクルだけ」と三澤氏は強調する。

ストレージ技術での圧縮とデータベースの求める圧縮

データベースの求めるライフサイクル管理

Advanced Compressionを利用してデータを圧縮してストレージ容量を削減すること、Oracle Partitioningによってビジネスルールに基づいた最適なストレージ配置を実現し、データの重要度に応じて低コストでエネルギー効率が高いストレージを有効活用することに併せて取り組むべきなのは、増大するデータ管理を自動化することと、ストレージコストの削減だという。

増大するデータ管理の自動化は、前述の「ASM」が対応する。Oracleの標準機能として提供されるため、ブラウザ上の管理画面からDB作成やチューニング、ディスク追加といった作業を行うことができ、工数と所要時間を削減できる。特にディスクを追加し、グループ内にデータファイルを均等に移動させるというような作業がブラウザ上で指定するだけで自動実行されるため、トラブルが大幅に減少するという効果がある。

さらに、ストレージそのもののコスト削減にも対応できるという。「低価格なストレージの弱い部分を、Oracle Databaseがカバーする。安いストレージでもミッションクリティカルな用途に使ってもらえるようになるはず」と三澤氏は語る。

低価格ストレージの不足部分を補うOracle

コスト削減、労力低減という視点からの対策が紹介されたが、コストや労力の削減は省エネにつながる。環境保全を目指すのではなく、ビジネス的な視点からのグリーンIT実現の紹介となった。