New Enterprise Data Centerは「簡素化」「共有化」「ダイナミック」

続いてジム・カーガン氏は、新しい企業ITの在り方について語りはじめる。「IBMのNew Enterprise Data Centerの戦略はひとつの進化型になります。とはいえ、それは新しい考え方ではありません。それらの理念はIBMの歴史に深く根付くものなのです」と同氏は述べる。

そのひとつの鍵となるものが仮想化であるのだという。かつてはサーバひとつに対してひとつのアプリケーションという考え方があったが、仮想化によりハードウェアとアプリケーションを完全に切り分けることが可能になり、コスト削減にも大きく貢献できると同氏。「いままでと違ったデリバリーとなり、もっとパーティションの利用率を効率のよいものにすることができます」と語る。

IBMが掲げる「New Enterprise Data Center」は様々な効果を発揮する

このNew Enterprise Data Centerには3つのステップが必要なのだとジム・カーガン氏は語る。まずは「簡素化」、そして「共有化」、さらに「ダイナミック」となるのだとスライドを示す同氏。「最初のステップでは無限に広がっていたサーバを集約し、仮想化を取り入れインフラの簡素化を実現します。次に共有化の段階でいままの機器をプールにまとめます。最後にダイナミックへと変換させるのです。このダイナミックこそ『クラウド・コンピューティング』のビジョンです。本格的に機器を稼働させ、アプリケーションと切り離します」とその内容について述べる。

New Enterprise Data Centerの実現には3つのステップが必要となる

「仮想化が始まると大型のサーバを使うことが多くなります。なぜかというと、多数のアプリケーションを1台のサーバで稼働させるとなると、スムーズなオペレーションを目指した場合、ダウンしてしまうとかなり大きな影響が出てしまいます。そこで必要なのが可用性の高いサーバなのです」とジム・カーガン氏。10年前からITの課題に取り組んできたIBMはx-アーキテクチャという構想を持ち続けている。「これは証明済みの技術、メインフレーム、Powerベースのシステム、またソフトウェアのグループの経験をx86ベースにも使ってゆくという構想になります」と同氏は語る。サーバの次世代を考えていくときにこのコンセプトが活かされるのだという。

今年はIBMがX-アーキテクチャに取り組んでから10周年となる

こうしたコンセプトから生まれたサーバ「iDataPlex」となる。このモデルは日本においては本日発表されたもので、エネルギー効率の良さや大規模展開と運用コスト最小化の両立など、現在各方面で叫ばれている課題を克服するための仕様が特長なのだという。このモデルはブレードセンターの上位にあたるもので、67%の冷却コスト削減をはじめ、サーバ密度においては138%の向上、フロアスペースの50%以上の縮小など、様々なアプローチがなされている。「IBMの戦略として、わたしたちはあらゆる分野で製品のリーダーとなりたいと考えております。iDataPlexによって新しい市場、新しい機能を提供してゆけると思っています」とジム・カーガン氏は新モデルの市場投入に自信をのぞかせた。

日本で本日発表となった「iDataPlex」

日本におけるクラウド・コンピューティング・センターの設置や、新しいコンセプトの分散コンピューティングサーバiDataPlexなど、IBMのNew Enterprise Data Centerへの取り組みが活発になっている。こうしたIBMの牽引力は今後のIT基盤に大きなインパクトを与えてゆくはずだ。