「最先端の映像表現は手段に過ぎない」

『カンフー・パンダ』のTシャツ着用でインタビューに応じたオズボーン監督

オズボーン監督は学生時代からコマ撮りのストップモーションアニメ作品を制作していた。それ以外にも、写真とアニメを組み合わせた作品や実写映像など、様々な映像表現に挑戦してきたオズボーン監督。彼はフルCGアニメーションの未来をどのように考えているのだろうか?

「私の制作者としての目標は、あくまでも良いストーリーを語る事なんです。映画は、キャラクターやストーリーがしっかりしている事が大切です。フルCGアニメーションもストップモーションも、ただのテクニックに過ぎない。どのようなテクニックを使うかではなく、ストーリーとそれを伝える手段であるテクニックのバランスが大切なんです。何度も言いますが、あくまでも大切なのはしっかりとしたストーリー。勿論、今回の『カンフーパンダ』では、フルCGアニメーションという手法のおかげで、動物たちのカンフーという、誰も見たことのない映像でストーリーを語ることができました。でも、もし別の手法が最適だったとしたら、フルCGアニメーションで描くことはなかったでしょう」

「最新映像技術はストーリーを伝えるための手段に過ぎない」と力説するオズボーン監督。彼はこれから、どんな作品をクリエイトしていくのだろうか?

「俳優と仕事をするのも好きなので、実写映画の監督もしたいですね。パペットを使ったコマ撮りも好きなので、ストップモーションもやりたいです。ストップモーションにはCGにはないリアルさがあると思っています。また、実写とアニメーションを組み合わせた映像にも興味があります。ただ、こういう企画には、なかなかお金が集まりません(笑)。フルCGアニメーション映画の企画だと、すぐにお金が集まるのですが(笑)。現在、色々な企画が進行していますが、これだけは言えます。やはり基本は良いストーリーを語るということ。『カンフーパンダ』では、それが成し遂げられたと自負しています」

最後にオズボーン監督は、『カンフーパンダ』に関してこう語った。

「パンダがカンフーアクションするとは、世界中の誰も考えてなかったと思います。『カンフーパンダ』は、それが、しっかりとしたストーリーの中で、フルCGアニメーションで描かれている作品です。そこを見てくれたら、嬉しいですね」

最新のフルCGアニメーションで『カンフーパンダ』を生み出したオズボーン監督は、インタビュー中、「フルCGは手段、手法に過ぎない」と繰り返した。単なる"アニメーション映画の監督"ではなく、"真のストーリーテラー"でありたいというオズボーン監督の強い想いが、その姿から確かに感じられた。

様々な映像表現に精通するオズボーン監督だが、最新の映像表現を過信してはいない

『カンフー・パンダ』は7月26日、丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー

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撮影:石井健