インターポーザ

SASの信号レベルは電気的に堅牢性が高く、SATAと比較してバックプレーンによる実装により適している。うまく設計されたバックプレーンを使用すれば、SATAドライブをSASコントローラ、SAS RAIDデバイス、またはSASエクスパンダに直接装着することができる。

よりよい電気的マージンと設計の柔軟性の向上のために、サーバまたはJBOD内のSASバックプレーンとSATAドライブの間にインターポーザを使用するストレージステムもある。このインターポーザは「テールゲート」デバイスとも言われ、SATAドライブを格納するドライブキャリアに一体化することも可能だ。

デュアルポートのSATA

このクラスのデバイスには、SASシグナルのシンプルな電気的リバッファリングからアクティブ-アクティブのマルチプレクサまで一連の機能が含まれている。これらすべてのデバイスが提供する基本的な電気的バッファリングは、信号の整合性を向上し、より大きな電気的マージンを提供し、ストレージシステムのプロバイダに、設計における柔軟性を向上させるために設計されている。

より高度化されたデバイスでは、SATAドライブをシステム内のデュアルポート化ドライブとして認識させることができる。デュアルポート化はSASにネイティブで、この能力はエンタープライズにおけるファイバ・チャネルで一般的に導入されてきた。ポートの1つがドライブへのアクセスに失敗しても、デュアルポート化によりストレージ・デバイスへの代わりのパスが得られる。SATAドライブはプロトコルに内在の制限により単一のホストに接続されているものと認識しているので、一部のシステムでは、全体的なストレージの可用性を高めるために、初歩的な多重化を提供するインターポーザを必要とする場合がある。

しかし、また別のシステムではドライブ接続の2つのポートが双方「アクティブ」であることが必要で、SATAドライブが複数のホストからのコマンドを受信できるような設計が求められることもある。このような設計では、若干複雑性の高い、アクティブ-アクティブ・マルチプレクサ(AAMUX)と呼ばれるインターポーザが必要だ。AAMデバイスはドライバレベルでのフェイルオーバー機能を提供するだけでなく、適切なソフトウェアを利用して、SATAドライブを複数のイミテータからのコマンドをサポートし、アクティブポートを2つ持つSASドライブとして認識させることができる。

このようなデバイスはSAS仕様の一部として提供されるSATAトンネリング・プロトコル(STP)に依存し続ける。このSAS仕様は、このようなネイティブSATAデバイスのSASドライブとの共存を可能にするものだ。