NTTデータ イントラマート 代表取締役社長 中山義人氏

NTTデータ イントラマートは25日、Webシステム構築基盤ソフトの新版「intra-mart ver. 7.0」の提供を7月から開始すると発表した。Ver. 6.0から約2年ぶりのメジャーバージョンアップとなり、発表にあたった同社代表取締役社長の中山義人氏は、「Webシステム構築基盤からビジネスシステム構築基盤へと進化した次世代フレームワーク」とアピールした。

intra-martは、Webベースの業務システムを構築する際に必要となる、アプリケーションサーバやフレームワーク、業務コンポーネント(ポータル、ワークフロー、帳票印刷、アクセス制限などの各モジュール)、業務アプリケーション(グループウェア、文書管理システム、営業支援システムなど)をパッケージ化した統合基盤製品。アプリケーションサーバにJBossやResinを、フレームワークにJavaEEやSeasarを採用するなど、オープンソース ソフトウェアを活用した「短納期・低価格」での製品提供と、根回しや稟議書引き戻しといった日本企業の商慣習に合った機能の提供により、国内約1,800社に対して導入実績を持っている。

intra-martの製品概念図

Ver. 7.0の最大の特徴は、米国のオープンソースBPM(Business Process Management)ソフトウェアベンダー、インタリオが提供するBPMエンジンを組み込んだこと。同社では、これにより、従来から同製品に備わっていた文書の申請、承認プロセスなどの「ドキュメントワークフロー」に加えて、見積り、受注、請求、入金といった、人が画面を見ながら行っていた「ヒューマンワークフロー」、および複数のシステム間で一連の処理をリアルタイム/自動で連携する「システムワークフロー」という計3つのワークフローに対応できるようになったとしている。

具体的には、フローの作成にあたっては、Eclipseのプラグインとして提供される「BPM Designer」ツールを利用。同ツールはBPMN(Business Process Modeling Notation)に準拠しており、フロー記述後は、ワンクリックでBPEL(Business Process Execution Language)実行エンジン「BPM Server」へと展開、実行することが可能という。見積書作成や受注登録といったヒューマンワークフローについても同様な操作が可能で、データ入力の画面については、簡易画面作成ツール「Xform」を使ったビジュアルな画面作成が可能。

また、システムワークフローについても、例えばWebサービス間のデータのマッピングや変換をマウスを使ってビジュアルに変更したり、外部システムのWebサービスをドラッグ&ドロップでフローに追加したりといったことが可能になった。なお、従来提供されていたワークフロー作成ツール「IM-ワークフローデザイナー」は、新版からはEclipseのプラグインとして提供されることになるという。

BPM機能の概略図。日本の商習慣が顕著に表れる「ヒューマンワークフロー」と「ドキュメントワークフロー」に対応できることが新版の強みという

新版では内部統制対応機能も強化され、リスクコントロールマトリクス図の出力に対応

もう1つの大きな特徴は、これらBPM機能の拡充に伴って、内部統制に対応した機能が新たに追加されたこと。具体的には、リスクの一覧、タスクに関連づけられたリスク、リスクとコントロールの詳細を一画面で把握できるほか、必要に応じてリスクコントロールマトリクス(RCM)図を出力することができるようになった。同社では、業務記述書、業務フロー図、RCM図といういわゆる"内部統制3点セット"の一元管理が可能としている。

そのほかの機能強化点としては、Web2.0技術を活用したポータル機能の使い勝手の向上、オーブソースのESB(Enterprise Service Bus)「Mule」の同梱、開発したコンポーネントのサービス化(SOAに基づいて外部から呼び出し)の推進などを挙げている。

発表に際し中山氏は、「近年のWebシステム開発は、短期間・低コストという要求や、ビジネスの変化への柔軟な対応というニーズのなかで、フルスクラッチ開発からコンポーネントを再利用する開発手法へと移ってきている。実際、当社の事例でも、SAP ERPとのリアルタイム連携や内部統制向けワークフローの構築、シェアードサービス基盤の構築など、コンポーネントを再利用して、IT投資の最適化を図るという傾向が強まっている」と現状を説明。そのうえで、日本企業の商慣習が顕著に表れるヒューマンワークフローやドキュメントワークフローの分野で強みを発揮できることが同社製品の特徴であることを強調した。

発表には、同社と今年4月に戦略的OEMパートナーシップを結び、新版でBPMエンジンを提供するインタリオのCEO、イシュメール・ガリミ氏と、同じく2001年から提携関係にありアプリケーションサーバresinを提供するカウチョ・テクノロジーのCEO、スティーブ・モンタル氏も同席。

ガリミ氏は、自身が標準化団体BPMI.orgの創立者の1人として、BPMNとBPEL仕様に深く関わりを持っていることや、インタリオのBPMスイート「Intalio BPMS 5.2」が6月にリリースされ、日本語コミュニティも発足していることなどを紹介した。一方、モンタル氏は、米国企業の間では、処理が重くなりがちなSOAソリューションが普及するのにともなって、軽量なアプリケーションサーバに注目が集まっているとし、resinが米セールスフォース・ドットコムやトロント証券取引所、インターコンチネンタル・ホテル・グループなどで利用されていることをアピールした。

インタリオ CEO イシュメール・ガリミ氏

カウチョ・テクノロジー CEO スティーブ・モンタル氏

なお、新版の製品構成としては、通常のWebシステム構築用の「スタンダード」(価格:1CPU当たり100万円)、ドキュメントワークフロー構築用の「アドバンスト」(同180万円)、最上位版の「エンタープライズ for BPM」(同460万円)の3つのエディションがある。このうち、BPM関連機能(BPM Designer、BPM Server)やESBが同梱されるのは、エンタープライズ for BPMエディションのみとなっている。