Expression Blend 2

マイクロソフト Expressionマーケティンググループ マネージャ 春日井良隆氏

Expression Blend 2は、WPFやSilverlightアプリケーションのオーサリングツールだ。

新版では、.NET Framework 3.5 / Silverlight 1.0という最新のプラットフォームに対応。Silverlightに関しては「次期バージョンがリリースされた暁には、早急に無償アップデータ版を提供する」(マイクロソフト Expressionマーケティンググループ マネージャ 春日井良隆氏)としている。

同製品では、アニメーションを動かすときのトリガ(マウスオーバー、クリックなど)や、アニメーションの動作速度、画像の配置場所など、RIAアプリケーションの実行に必要な情報をグラフィカルな画面で設定することが可能。XAMLファイルを直接いじって編集することもできる。また、編集中のパーツに対してロックをかけたり、一時的に非表示にしたりするなどの、クリエイティブツールに備わる基本機能をそのまま搭載している。RIAアプリケーションの部品となるコントロールも豊富に用意されているうえ、新規に登録することも可能だ。

加えて、プレビュー用のWebサーバ(ASP.NET Development Server)も組み込まれており、作成したRIAアプリケーションは、煩雑な設定をすることなく、ボタン1つで動作を確認することができる。

また、Expression Blend 2には、データバインディング機能も用意されており、データソースのURLや、Web画面におけるデータの表示場所/表示方法をグラフィカルな画面上で定義するだけで、データベース等と連携したアプリケーションを作成することができる。

Expression Blend 2は、Visual Studio 2008との強固な連携も実現している。通常のRIAアプリケーション開発では、デザイナーの成果物をプログラマーがコーディングしなおすという作業が発生するが、Expression Blend 2では「Visual Studio 2008とプロジェクトを完全共有して」(高橋氏)おり、成果物がそのままコードに置き換わるため、作業ロスをなくすことができる。また、「例えば、プログラマーがVisual Studio 2008でプロジェクトを開いている最中にデザイナーが変更を加えたとしても、Visual Studio 2008の画面上にその旨を伝えるメッセージが表示されて再読み込みが行われる仕組みになっており、両者の間に齟齬が生じることはない」(同氏)という。

Expression Blend 2の編集画面。高橋氏は「アドビシステムズの製品のようなUI」と評し、笑いを誘った

XAMLの編集画面

Expression Web 2

Expression Web 2は、Webページのオーサリングツール。HTMLやXHTML、CSS、XSLTの各バージョンに対応しているうえ、Webブラウザ間で異なるスキーマについても指定して使用することができる。

新版では、ASP.NETやPHPを新たにサポート。ASP.NET AJAX 1.0のコントロールもサポートし、リッチなアプリケーションをより効率的に作成できるようになった。

Expression Web 2の画面

PHPにも対応

春日井氏が同製品の最大の特徴として挙げるのが、コーディングアシスト機能である。「Expression Web 2では、Visual Studioと同様、高度なインテリセンスが搭載されている。コーディングの際には、最初の数文字を入力するだけで、必要なキーワードが得られる。また、取り消し線を表示するsタグのように、言語の種類やバージョンによって互換性のないものも存在するが、そういったコードが入力された際には、赤色の下線が表示されるなど、注意を促す仕組みが導入されている。こういった点は細かい部分だが、作業効率を向上させるうえでは非常に重要である」。また、手の込んだアプリケーションになると、CSSの数が膨大になり、スタイルがどこで定義されているのかわからなくなることが、「そんなときもCtrlキーを押しながらクラス名をクリックするだけで、目的の定義に飛ぶことが可能」だという。

春日井氏は「プレビュー機能についても自信がある」と続ける。「プレビュー時にブラウザの種類を選べるほか、『1024×768』『800×600』『640×480』など画面サイズも選択することができる。また、他のWebオーサリングツールでは、プレビュー時に表示が崩れることもあるが、Expression Web 2では、IE 7のレンダリングエンジンを搭載しているため、そのようなことはない」

動画に関しては、Expression Blend 2で作成したSilverlightアプリケーションはもちろん、FlashやWMVファイルも挿入することが可能だ。

FlashファイルやWMVファイルも挿入することができる

価格体系

Expression Studioおよび、それを構成する製品群の価格は下表のとおり。なお、アップグレード版については、Expression以外の製品(他社製品も含む)からの乗り換えも対象になっているので、購入を検討している方はよく調べると良いだろう。

製品名 通常版価格 アカデミック版価格 アップグレード版価格 アップグレード対象製品
Expression Studio 2 8万7800円 1万7800円 4万3800円 Expression製品、Visual Studio、Adobe Creative Suite、Macromedia Studio
Expression Blend 2 6万2800円 9800円 1万4800円 Expression Blend、Visual Studio、Flash、Director、Adobe Creative Suite、Macromedia Studio
Expression Web 2 3万7800円 9800円 1万2800円 Expression Web、Office、FrontPage、Visual Studio、Flash、Director、Dreamweaver、Contribute、Adobe Creative Suite、Adobe GoLive、Macromedia Studio、IBMホームページ・ビルダー
Expression Media 2 2万5800円 6800円 1万2800円 Expression Media、Adobe Photoshop Lightroom、Adobe Photoshop Album 、Adobe Creative Suite、Apple Aperture、ACDSee
Expression Encoder 2 2万5800円 6800円 1万2800円 Expression Media、Adobe Premiere、Adobe Creative Suite、Apple Final Cut Pro、Adobe Creative Suite、Macromedia Studio

また、Macユーザーに向けて、Expression Studio 2とそれに関連するOS/アプリケーションをまとめた「Expression Professional Subscription」というパッケージも用意されている。同梱される製品は以下のとおり。価格は13万8000円。

  • Expression Studio 2
  • Visual Studio 2008 Standard
  • Office Standard 2007
  • Office Visio Professional 2007
  • Windows XP Professional
  • Windows Vista Business
  • Parallels Desktop for Mac
  • Virtual PC
  • Virtualized server environment
  • Project(7月末に追加予定)
  • Groove(7月末に追加予定)
  • Windows Vista Ultimate(7月末に追加予定)