COMPUTEX直前の5月29日に「Nano」プロセッサを発表した台湾VIA Technologiesだが、会場のブースでは、同プロセッサを搭載するマザーボードとノートPCが早くも確認できた。いずれも年内には発売される模様だ。

VIAブースには同社CPUを採用した製品が多数並べられていた。今年はVTFがなく、COMPUTEXにも出展しないという噂もあったが、ホール4にブースが出ている

Nanoプロセッサは、同社がコードネーム「Isaiah」として開発を進めてきたプロセッサ。C7までのイン・オーダー型とは異なり、同社CPUとしては初めてアウト・オブ・オーダー型のアーキテクチャを採用しており、C7に比べて2~4倍の性能(同クロック比)を発揮するという。ちなみにC7とはピンコンパチであり、チップセットは従来と同じものが利用できる。

Nanoプロセッサが搭載されていたのは、中国Tsinghua Tongfangの「Imini S1」というノートPC。10.2インチディスプレイを搭載するミニノートで、プロセッサの動作クロックは1.2GHzとなっていた。VIAの担当者によると、この製品は今年第3四半期の発売を予定しているそうだ。

初のNano搭載ノートとなる「Imini S1」。OSはWindows XPが動いていた

動作クロックは1.2GHz。"CNA"というのはエンジニアリングコードネーム

Imini S1の左側面

こちらは右側面

ノートPC向けの開発プラットフォームとして、Nanoプロセッサを搭載した「Trinity」プラットフォームも公開されていた。CPU・チップセット・GPUの3つ全てがVIA製ということからこの名前になったそうで、ボードには1.8GHzのNanoプロセッサ、シングルチップのVX800、S3 Graphicsの「Chrome 440 ULP」を搭載、動作デモが行われていた。

「Trinity」プラットフォーム。実際に動作していた

その構成。ノートPCの中でもメインストリーム向けのようだ

今回、Nanoプロセッサを搭載したノートPCはTsinghua TongfangのImini S1のみだったが、日本のPCメーカーにも売り込みはしているそうで、来年あたりにはこれを搭載する製品が出てくるかもしれない。それにしても、やはりAtomの動向は気になるようで、スタッフの何人もが「Atomより性能は良い」と断言していたのが印象的だった。

一方、Mini-ITXマザーボードでNanoプロセッサを搭載していたのは「VB7002」。この製品には現在、C7プロセッサが搭載されているのだが、ピン互換があるということで、そのままNanoプロセッサに置き換えたもののようだ。Nanoプロセッサを搭載したVB7002は、今年第4四半期くらいの出荷開始となりそうだ。

Nanoプロセッサを搭載したVB7002。しかし、「Nanoを搭載したMini-ITX」というのはどうもややこしいと思うのは筆者だけだろうか?

CPUは確かにNanoが搭載されている。C7と同じNanoBGA2パッケージになっており、富士通の65nmプロセスで製造される

発表されているNanoプロセッサのラインナップは以下の通り。全てシングルコアの製品だが、開発を担当した米Centaur Technology(VIA子会社)のC.J. Holthaus氏によれば、デュアルコア製品の設計も進んでおり、2010年の市場投入を計画しているそうだ。

VIA Nanoプロセッサのラインナップ
製品 周波数 FSB TDP
L2100 1.8GHz 800MHz 25W
L2200 1.6GHz 800MHz 17W
U2300 1.3+GHz 800MHz 8W
U2500 1.2GHz 800MHz 6.8W
U2400 1.0GHz 800MHz 5W

ところで上記のモデルナンバーを良く見て欲しいが、このプロセッサも名前の付け方が良く分からない。例えばUシリーズでは、最高速の1.3GHz版が「U2300」、ローエンドの1.0GHz版が「U2400」となっており、そして真ん中の1.2GHz版がなぜか最も大きな「U2500」となっている。これについて担当者に確認したところ、この順番はワット性能を表しているとのことだ(つまり、U2500が一番ワット性能が高いということ)。

またネーミングということで、ついでにESECレポートで指摘した点についても担当者に確認してみた。従来の製品はEPIA SNやEPIA PXといったシリーズ名になっていたが、新モデルはEPIA-M700やEPIA-P700のようになる。これはやはりネーミングルールが変わったそうで、意味は最初の文字がフォームファクタ(MはMini-ITX、PはPico-ITX)、次の数字1桁はCPUを表しており、残りの数字2桁がどんどん増えていくとのこと。