日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、「企業IT動向調査2008」を発表した。同調査はJUAS が過去13年間継続して実施しており、今回が14回目にあたる。
ユーザー企業のIT部門および社内IT利用部門を対象にアンケート調査とインタビュー調査を行い、企業におけるIT投資およびIT利用の現状と経年変化を明らかにするとともに、今回は「ビジネスイノベーションへの挑戦」「ハードウェア・ソフトウェアのライフサイクル、アップグレードに関する諸問題」の2テーマについて重点的に調査を実施。
2007年10月から11月にかけて、各4,000社のIT部門長・経営企画部門長(利用部門)を対象とし、有効回答数はIT部門が634社、利用部門が683社だった。併せて、2007年11月から2008年2月にかけて40社のIT部門長および5社の経営企画部門にインタビュー調査を実施している。
IT予算(保守運用費+新規投資)の増減を見ると、2007年度に増加させた企業が全体の61%に達し、またDI値(増加させた企業の比率-減少させた企業の比率)は対前年度12ポイント増の38ポイントであり、3年連続の増加傾向となった。2008年度のDI値は15ポイントで前年度から大幅減となるが、2007年度のIT予算水準が例年になく高かったこと、DI値が依然プラスであること、調査時点での2008年度の企業業績も堅調で8期連続の経常増益が見込まれることなどから、IT投資の山は越したものの引き続き堅調に推移するものJUASは見ている。
ビジネスイノベーション(ビジネスモデルの変革とビジネスプロセスの変革)の変革主体は、業務部門が中心になっていると答える企業が大企業では過半数であり、IT部門は脇役と認識している企業がほとんどだった。経営層はIT部門に対し、「ビジネスモデルの変革」よりも「ビジネスプロセスの変革」を期待する傾向が強い。
ハードウェア/ソフトウェアのライフサイクルおよびアップグレードに関する諸問題を見ると、代表的な基幹業務システムの開発時期が10年以内の企業が70%だったが、21年以上使っている企業も8%ある。基幹業務システムのライフサイクルは平均14年であり、10年以内というベンダーの認識との間に大きなギャップがある。
保守停止やサポート打ち切りで困った経験がある企業は、ソフトウェアとサーバが6割、ホストマシンは3割と少ない。大企業では7割を超える企業がソフトウェアのサポート打ち切りとサーバの保守停止に困っている。アプリケーションパッケージやソフトウェアに関しては「システムを凍結し新たな変更・改良を行わず、そのまま使う」措置でしのいでいる企業が3割あった。