アシストは、Webサイトの企画から統計、分析、評価、結果反映までのライフサイクルを「NOREN5 Content Server」と連動して統合的に管理する、「NOREN5 Experience Server」を5月1日より販売すると発表した。

今回発表された「NOREN5 Experience Server(以下、NES)」は、Web用のコンテンツマネジメントシステム(以下、CMS)である「NOREN5 Content Server(以下、NOREN5)」のファミリー製品だ。NOREN5と連動することにより、Webサイトに関するライフサイクルを効率化、企業力の更なる向上を図れるようになる。稼働環境はWindows、Linux、UNIXに対応しており、販売価格は税別480万円から。

「NOREN5 Experience Server」はアクセスログ解析、検索エンジン、コンテンツ評価システムの3つを提供

「のれん」の先にある新たなWeb戦略基盤

アシスト 取締役の勝田誠氏

記者発表の冒頭でアシスト 取締役の勝田誠氏は「アシストの大きな成長の柱として注力しているのが、NORENファミリーを中核としたWeb系のビジネス分野、顧客営業力の向上を目指すSFA(Sales Force Automation)分野、内部統制とセキュリティ分野の3つ」と語った。今回のNESは柱の1本を担うNORENファミリー製品だけに、その意気込みの大きさもうかがえるところだ。

アシストでは2002年に「NOREN3」の取り扱いを開始し、CMS市場へ新規参入した。2003年には日立製作所など大手企業での採用が決定し、NORENユーザー会が発足。勝田氏は当時を振り返り「実はNOREN3が日本企業の事情にあまりフィットしなかったため、半年ほど販売を停止した時期もありました」と語るが、2004年にリリースしたNOREN4で顧客が一気に増加。2005年にはクイックスタートキットおよび配信用の「NOREN4 Deploy Server」を提供開始し、採用企業も100社を超えることとなった。

アイオン・コミュニケーションズ 代表取締役社長のオ・ゼチョル氏

NORENは、韓国のアイオン・コミュニケーションズが開発した「I-ON Content Server」を日本向けにローカライズした製品だが、2006年にはアイオン・コミュニケーションズと日本における独占販売契約を最長20年延長で再締結した。ソフトウェアパッケージ契約期間としては3~5年が一般的だが、異例の20年という契約に対して勝田氏は「パートナー企業であるアイオン・コミュニケーションズとの深い信頼関係や実績を踏まえて、アシストとしても初となる20年契約を結びました」とコメントしている。そして2007年にNORENパートナー会が発足し、2008年には「NOREN5 Content Server」を提供、採用企業は350社を超えるまでに至っている。

アシスト のれん力強化事業推進室 室長の根津豊氏

アシスト のれん力強化事業推進室 室長の根津豊氏は「企業のWebサイトは普及期から統制期に入っているにも関わらず、構築管理が属人化していたり、人海戦術や他力本願で賄われていたりといった現状があります。そのWebサイトを、現場で使えるビジネス戦略ツールにしたいというニーズでCMSが望まれています」と語る。

現在、企業内にはコンセプトやユーザーインタフェース、機能などがすべて異なるマネジメントツールが散在している。このように非効率的な状況において、NORENを中核に検索エンジンやアクセスログなどを統合、企業のWeb戦略をしっかりと具現化してくれるのがNESだ。根津氏は「製品名にもなっている"のれん"をくぐった先に新たなWeb戦略の基盤がある、というメッセージとともにNESを出荷していきます」と語る。

WebサイトのPDCAサイクルを円滑化

続いて、アシスト のれん力強化事業推進室 技術部 チーフテクニカルエンジニアの八木康介氏より、デモを交えた具体的な機能解説が行われた。

NESを導入すると「NOREN5 Content Server」のメイン画面に「ダッシュボードマネージャ」が追加される。このダッシュボードマネージャでは、約100種類用意されたレポートの中から欲しい情報を抜粋してチェックすることが可能。例えば、サイト管理者はページビュー、経営者は訪問トレンド、SEO対策には検索キーワードや経由した検索エンジンなど、閲覧者の立場や目的に応じた項目設定が行える。さらにサイト全体のログ確認だけでなく、対象コンテンツの詳細情報を表示する「Log Analytics」が用意されているため、それぞれの専門分野に特化したより高度な分析も可能になる。

NESではリアルタイム性や解析対象ページの自由度を重視するため、ログ取得方法に「タグ埋め込み型」を採用している。このタグ埋め込み型のデメリットとしては、すべての解析ページにスクリプトを挿入する手間がかかったり、大半がASP形態のためログが業者管理になるといった点が挙げられるだろう。しかしNESでは、NORENの「コンポーネント」にタグを埋め込むことで一括作業が可能、管理者の負担を大幅に低減している。また、社内にセキュリティ強化した解析用の専用サーバを設置することにより、情報漏えいのリスク回避を実現した。

八木氏によると「Webサイトの運用フローとしてはPDCAサイクルが理想だが、実際には上手く機能していない企業が多く、その中でも特に分析である"Check"と結果の反映"Action"に問題を抱えているケースが多い」という。しかしNESを利用すれば、ログ解析担当者からの情報を待つことなく、Webサイトの解析からコンテンツ作成までを同一のインタフェースで処理することが可能。課題である"Check"と"Action"が一連の流れの中で行えるため、停滞したPDCAサイクルを迅速かつ円滑に回せるようになるわけだ。

提供者視点から利用者視点の時代へ

記者発表会に同席したアイオン・コミュニケーションズ 代表取締役社長のオ・ゼチョル氏は「今まではWebサイトを構築する提供者視点の時代、今後はユーザーの経験が必要になる利用者視点の時代」だと語る。 つまり、以前はコンテンツの整理が重要なポイントだったのに対し、これからはユーザーがどのような製品に興味を持ち、どのようなサービスを求めているかを知ることが重要になるというわけだ。例えば、コンビニである商品に対する問い合わせが多い場合、店舗側では入口付近の良く見える場所に商品を移動するだろう。Webサイトでは、この問い合わせがログ解析やアンケートの結果であり、客の移動する導線が適切に配置されたシナリオに相当する。NESは、こうしたユーザーのニーズ分析と利便性向上を効率的に行える製品なのである。

訪問トレンドや平均ページビューなどが一覧表示されたダッシュボードマネージャ

より詳細な情報表示が行える「Log Analytics」

左側にサイトのディレクトリ構造が、右側にコンテンツ情報が表示された「サイトマネージャ」

同一のインタフェースで、Webサイトの解析からコンテンツ作成までを円滑に処理できる