ASUSの「Eee PC 4G-X」

「Eee PC 4G-X」以下、(PC 4G-X)は、7インチワイド液晶とWindows XP SP2を搭載したミニノートだ。4GBのフラッシュメモリドライブ(SSD)を記憶媒体に採用するとともに、光学ドライブを非搭載にすることでA5サイズというコンパクトボディを実現。さらにサイズが小さいだけでなく、5万円を切る低価格で大ヒットとなっている。

ミニノートというとマニア向けの製品が多いが、ASUSによるとPC 4G-Xのターゲットはマニアではなく、一般層だという。ビギナーが安価かつ手軽に導入できるデジタル環境を提供するというのが、PC 4G-Xの狙いなのだ。そこで不安になるのは、自分に必要な性能を持っているかということ。仕事や趣味でパソコンを使いたいという場合に、どれだけ性能を出せるのかチェックしてみたい。

付属品として、小型のACアダプタと専用のソフトケース、USBマウス、そして日本語マニュアル、リカバリ機能付きのサポートDVDが入っている。マニュアルには本体の扱い方や、無線LANやユーティリティの操作方法などが書かれており、ビギナーにも親切だと感じた。また、評価機には入っていなかったが、製品版では4GBのSDメモリーカードも付属している。5万円を切るノートとしては、充実した内容だ

本体を手に取ると、やはりその小ささが際だつ。13.3インチワイド液晶を搭載したノートと比べると、約半分の大きさである。重さは約920gと軽量で、小さめの鞄に入れても持ちやすさは抜群。システム手帳を持ち歩く感覚と変わらない。本体の外装はプラスチックながらたわみがなく、ヒンジ周りもしっかりしている。さらに、PC 4G-Xはハードディスクを搭載していないこともあって、衝撃などに強い作りだ。毎日持ち運ぶような使い方でも堪えられるだろう。

キーピッチは約16mm(縦方向は約14mm)と小さい。ファンクションキーや「Del」キーなどは、約12mm(縦方向は約10mm)となり、さらに小さくなってしまうのが残念

キーボードは84キー日本語タイプ。キーピッチは約16mmと小さめで、また一部の記号キーはさらに小さい約12mmとなっている。フルキーボードに慣れている人にはやはり打ちづらく、特に句読点などはタイプミスが多くなるかもしれない。ただ、キー配置は無理がなく、慣れれば高速にタイピングできそうな印象を持った。なおトラックパッドはスクロール機能も備えているが、46×30mmと小さいので、付属のUSBマウスをつなげたほうが使いやすい。

ディスプレイ両脇にはステレオスピーカーを内蔵。本体のサイズからすると、もう一回り大きな液晶が入りそう。Webカメラをディスプレイ上部に備え、マイクは本体の裏にある

液晶は前述のとおり7インチワイドを搭載する。解像度は800×480ドットで、Windows XPで使うにはやはり厳しい。IEなどでブラウジングをするときは全画面表示を活用するなど、工夫が必要だ。エミュレート機能を利用すれば800×600ドットで表示できるが、スクロール操作が必要になるので、使えるかどうかは好みが分かれるところ。ディスプレイ両脇のスペースにはステレオスピーカーが内蔵されている。スペースが広く空いているのが気になるが、音質は良好で動画などを鑑賞するのにも不足ない。また液晶上部には30万画素のWebカメラを搭載している。

800×480ドットのデスクトップは、Windows XPで利用するとやはり狭い。スタートメニューを表示しただけで画面が埋まってしまう

マイコンピュータのプロパティ画面。Celeron M 900MHzを630MHzで動作させているのが分かる。グラフィックス機能にはUMA対応インテルチップを搭載している。メインメモリは512MBだが、Windows XPなら快適に動く

プリインストールされている「EeePC Tray Utility」。解像度の切り替えやWebカメラ、無線LANのオンオフを操作するユーティリティだ

PC 4G-Xを日常的に利用するノートとして見た場合、気になるのは空き容量が初期状態で約1.4GBと少ないことだ。Windowsアップデートを実行すれば1GBを切ってしまい、少し大きなアプリケーションやデータをコピーしようとすると、空き容量がすぐに不足する。とはいえパッケージには4GBのSDHCメモリカードが付属しているし、今なら16GBのSDHCが1万円程度で手に入る。後者はコストはかかるものの、容量不足を簡単に解決できる。

本体左側には10BASE-T、USB2.0×1、マイク、イヤホンの各端子がある(モジュラージャックは埋められている)。右側はUSB2.0×2、SDカードスロット、アナログRGB出力端子がある。無線LANのオンオフは「Fn」+「F2」やユーティリティから行う

また、拡張性については光学ドライブもPCカードスロットも持たない代わりに、USBスロットを3つ搭載しているので困ることはなさそうだ。光学ドライブは外付けタイプのものを用意して対処できるし、3つのUSBスロットを常時埋めるようなケースはほとんどない。

実際に使ってみると、操作は快適そのものだ。Windowsの起動時間は約30秒と高速。またYouTubeなどが配信している動画もコマ落ちなく再生できた。液晶輝度はやや暗めだが、動画ぼけなどもなく、ストレスを感じることはなかった。

さらにバッテリーの持ち時間を調べるため、WMV形式の動画(1.5Mbps)をエンドレスで流したところ、約2時間49分間再生できた。液晶輝度を最大にした状態でのテストのため、実際はもう少し長く再生できるだろう。再生中のCPU負荷は50%前後で推移しており、メディアプレーヤーとしての潜在能力は高い。

PC 4G-Xは、小型ながらサクサクと動くノートパソコンで、サブノート的な使い方にぴったりだ。液晶解像度が小さいという制限もあるが、オールマイティな使い方ではなく外出先でのメールチェックなど、用途を限定すれば仕事にも使える。無線LANを利用したインターネットアクセスも快適(現在、購入者を対象に、NTTブロードバンドプラットフォームが運営する公衆無線LANサービス「Wi-Fine」を無料で利用できる期間限定キャンペーンを実施している)で、いつも手近な場所に置いて利用できるノートとしておすすめだ。

スペック

CPU Celeron M
チップセット Intel 910GML Express
メモリ 512MB(最大512MB)
グラフィックスチップ グラフィックスチップ内蔵
ディスプレイ 7インチワイドTFT液晶ディスプレイ(800×480ドット)
SSD 4GB
光学ドライブ なし
有線LAN 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX)
無線LAN IEEE802.11b/g
Bluetooth なし
モデム なし
Webカメラ 30万画素
その他の主な機能 とくになし
メディアカードスロット 内蔵(SD/MS/xD対応)
拡張カードスロット ExpressCard/54スロット
インタフェース 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン)、USB2.0×3、ヘッドホン出力、マイク入力
本体サイズ 225(W)×164(D)×22~37(H)mm
本体重量 約920g
バッテリ駆動時間(公称) 約3.2時間
OS Windows XP Home Edition
店頭価格 4万9,800円