デルの「XPS M1530」

デルが昨年11月に発売したXPS M1530は、同社の高級志向製品「XPS」ブランドのノートPCだ。15.4型液晶搭載モデルという、バリュー製品がしのぎを削るジャンルに投入された製品である。価格・スペック・デザインなど、PCとして求められる要素を高いレベルでバランス良く持ち合わせているのが魅力だ。

アルミニウムが醸し出す高質感

デルを始めとする、国内で展開する米系企業のノートPCというと、大ぶりでプラスチックを多用した、いかにもコストパフォーマンス重視という製品のイメージが強いと思う。しかし、デルの「XPS」は、そうしたイメージを覆し、製品としてのこだわりある作りが特徴の製品シリーズだ。

本体はアルミの質感を存分に活かしたデザインが特徴。ヒンジ部も重厚な作りで、ズッシリとした安定感がある

本パームレスト部のヘアライン加工されたアルミは、本製品の外観上の大きな特徴。キーボードはやや軽いキータッチだが、PageUp/Downなどが独立している当たりは使い勝手が良い。右手前には指紋リーダーも備えている

昨年末に発売された「XPS M1530」は、15.1型液晶を持つ普及価格帯製品だ。普及価格帯に投入された製品とはいえ、XPSシリーズのイメージどおり、非常に高い質感を持った外観になっている。特にアルミニウムの質感を前面に押し出しているのが美しい。パームレスト部はアルミニウムをヘアライン加工したもので、見た目も手触りも良い。

また、全体の外観は、金属の硬い印象と緩やかなカーブによる絶妙のバランス感覚で構成されている。最厚部は35.1mmと決して薄い製品ではないのだが、数字ほど厚みがあるように感じられないのも、このデザインによるところが大きいだろう。

キーボード奥にはタッチセンサー式のメディア操作ボタンを装備。タッチしたとき、青色LEDによって光るという演出も仕込まれている

本体右側面。ExpressCard/54スロット、無線LANスイッチ、光学ドライブ、USB2.0、Sビデオ出力、セキュリティロックスロットを備える。光学ドライブはBTOメニューに2種類が用意されるが、いずれもスロットローディング方式となる

さらに、光学ドライブにスロットローディング方式を採用しているのも本製品の大きなこだわりだろう。多くのPCではトレイ方式の光学ドライブを採用することが多いが、トレイがはみ出したときの外観の崩れを嫌ったものだと想像される。それでいてBlu-rayドライブの選択肢も用意しているあたりは、高スペックと高デザインの双方を妥協なく追求した結果といえる。

本体左側面。IEEE1394、HDMI、LSN、D-Sub15ピン、USB2.0×2を備える。HDMI端子はグラフィック機能の選択肢に関わらず搭載されている

本体前面。SD/MSスロット、マイク入力、ヘッドホン出力を装備。ヘッドホン出力は2系統備えている

重量は2.5kgを超え、製品の持ち運び範囲は限られるが、ACアダプタはバッグへの収納も考慮されたものが付属する

逆に見た目のわりには重量を感じさせるのも事実。本体サイズ面でも屋内での持ち運びに支障はないが、屋外でのモバイル用途には難しい製品にはなっている。

GeForce 8600M GTも選べる高スペック製品

さて、PCとしての能力は外観よりも、むしろスペック面のほうが重視される傾向にある。本製品はBTOによるカスタマイズ購入が可能であるが、この選択次第では高いパフォーマンスを持ったPCを構築することができるのである。

Windows Vistaのエクスペリエンスインデックスは、ノートPCとしては非常に高いレベルのスコアを示す。特にGeForce 8600M GTによる満点のグラフィックススコアが目立つ

ポイントとなるのが、グラフィック機能である。BTOメニューからはNVIDIAのGeForce 8600M GTまたはGeForce 8400M GTを選択可能となっており、特に前者ではベンチマーク結果でも示したように、ノートPCとしては非常に高いパフォーマンスを示す。

また、HDMI出力に対応しているのも特徴で、BTOメニューで選べるBlu-rayドライブと組み合わせれば、本製品による高解像度のBlu-ray再生環境も整えることができるのだ。先述したNVIDIAのGPUは、Blu-rayコンテンツの再生支援機能も充実しており、再生環境として不足はない。

ちなみに液晶ディスプレイは、1280×800ドット、1680×1050ドットの2種類から選択が可能だ。試用機には1440×900ドットの液晶パネルが採用されていたが、このパネルは原稿執筆時点でBTOメニューには用意されていないようだ。

このほか、CPUは最高でCore 2 Duo T7700、メモリは最大4GBとなっているほか、HDDの選択肢も豊富だ。HDDは回転数の多い7200rpmモデルや、64GBのSSDを選択することもでき、投資コスト次第では、ゲーム用途からタフなビジネス用途まで、幅広く対応できるハイパフォーマンスなPCとなるのだ。

逆に、必要となるものだけを予算に合わせて導入することが可能なのもBTOの良いところ。もっとも、スペックを抑えるといっても、製品イメージもあるのか極端に低いスペックのパーツは選べず、15.1型クラスの製品としては高スペックが維持される。それでいて、最小構成価格は10万台前半とコストパフォーマンスも悪くない。

どこかが極端に飛び抜けた製品でもないが、どこを取っても"良い"と表現したくなる。そんな高いレベルでバランスが取れた製品になっている。

ベンチマーク

3DMark06(800×600ドット) CPU Score 1933
3DMark 5705
フルパワーモードにてFFBenchをローモードでループさせたバッテリ持続時間(9セルバッテリ使用) 1時間07分33秒

スペック(テスト機)

CPU Core 2 Duo T7500
チップセット Intel PM965
メモリ 2GB(最大4GB)
グラフィックスチップ NVIDIA GeForce 8600M GT(256MB)
ディスプレイ 15.4インチ TFT 光沢液晶ディスプレイ(1440×900ドット)
HDD 200GB HDD (SATA、7200rpm)
光学ドライブ BD-REドライブ(スロットローディング方式)
有線LAN 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX)
無線LAN 内蔵(IEEEE802.11a/b/g/n)
Bluetooth オプションで選択可能
モデム なし
Webカメラ 内蔵(200万画素)
その他の主な機能 指紋センサー
メディアカードスロット 内蔵(SD/MS/xD対応)
拡張カードスロット ExpressCard/54スロット
インタフェース 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン、Sビデオ、HDMI)、USB2.0×3、ヘッドホン出力、マイク入力、IEEE1394(4ピン)
本体サイズ 357(W)×263(D)×23.7~35.1(H)mm
本体重量 約2.62kg
バッテリ駆動時間(公称) 未公表
OS Windows Vista Ultimate
価格 14万4,510円から