昨年はRolandが「V-Synth GT」、KORGが「M3」、ヤマハが「MOTIF XS」を投入して大いに盛り上がった。それに比べると、今年の新製品の話題は少々迫力に欠けたが、この3社のブースがNAMMの主役であることに変わりはない。
Rolandは40を超える新製品を用意した。その目玉がミュージックワークステーション「Fantom-G6 (61鍵)/ G7 (76鍵)/ G8 (88鍵)」だ。これまでのFantomシリーズで培ってきた技術に最新テクノロジを融合させ、「スタジオでの創作からステージでのライブパフォーマンスまで高次元にサポートする」という。新開発のオーディオ・プロセッサを搭載。24chのオーディオトラックを含む最大128トラックの同時処理に対応する。オーディオ/MIDIシーケンサー、ARX SuperNATURALベイ、8.5型のVGAカラー液晶モニター、そしてPHA II "Ivory Feel"鍵盤など、サウンド表現力からクリエイティビティ/ワークフロー、演奏性に至るまで大幅な向上を果たした。ウェーブROMは前モデルから倍増。最大22系統のエフェクトを同時にプログラムできる。
同社はまた、ARX SuperNATURALベイ向けに、ドラム音源「ARX-01」とエレクトリック・ピアノ音源「ARX-02」などの拡張ボードを用意した。これらのボードはSuperNATURALテクノロジによる自然で豊かな音色を実現。エフェクト、ユーザーインタフェスを含む統合的なアプリケーション環境に至るまで拡張する。ソフトシンセとは異なる、これまでにない演奏表現を可能にした。
そのSuperNATURALテクノロジを備えた最新のエレクトリック・ピアノが「RD-700GX」だ。ARX-02から移植されたピアノサウンドが豊富に収録されている。PHA II "Ivory Feel"鍵盤を装備し、ハンマーノイズやリリースノイズなど細かな調整が可能。定評あるRD-700SXの基本コンセプトをさらに進化させ、より豊かでリアルな表現を楽しめる。
BOSSのスペースでは、ギター用マルチエフェクター「GT-10」とベース用の「GT-10B」のデモが行われていた。GT-10は最新のDSPチップ搭載でサウンド品質が向上。EZトーンウィザードを通じて、その性能を誰でも手軽に引き出せる。内蔵エフェクトを2系統の信号経路に自由に配置できる"パラレル・チェイン機能"、最長38秒のフレーズ・ループ機能など、創造的な表現が可能だ。
ほかにはバージョン2となるポータブルデジタルレコーダー「BR-900CD」のデモが行われていた。COSMによるGT-PROクラスのアンプタイプを新たに搭載し、サウンドメーキング能力が大幅に強化された。
Rolandブースで今年最も目立っていたのがエレクトリックドラムV-Tourシリーズ「TD-9SX」「TD-9S」。練習用の新機能を搭載した音源TD-9と、セッティングの自由度が向上したドラムスタンドMDS-9で構成される。ベーシックモデルでありながら、より本格派の期待に応えそうなポテンシャルを備えており、サウンドクオリティを含めて、その実力を確かめようという人が試奏待ちの行列を作っていた。