ベンチマークテストで最新ハイエンドの実力を検証

基本スペックを押さえたところで、そろそろベンチマークテストによる性能チェックを行ってみたい。今回のテストの主眼はHD 3870 X2とHD 3870の性能差にもあるが、同時にHD 3870のCrossFire構成との比較も行ってみた。さらに、比較対象としてGeForce 8800 GTXもエントリーしている。本来ハイエンドであるHD 3870 X2と対決させるなら、8800 Ultraのほうが相応しいのは確かだが、限られた時間内でのテストということでご容赦いただきたい。

今回はHD 3870 X2の2枚挿しやHD 3870の混合構成もチェックしてみたかった(後述)ため、Phenom+AMD 790FXというスパイダープラットフォーム環境下を構築した。テストマシンの構成は以下の通り。

CPU Phenom 9500 (2.20GHz)
Motherboard GIGABYTE GA-MA790FX-DS5 (AMD 790FX)
Memory Transcend TX1066QLJ-2GK (DDR2 1066 1GB×2)
HDD Seagate Barracuda 7200.10 500GB SATA (ST3500630AS)
OS Windows Vista Ultimate 日本語版

なお、マザーのBIOSは最新の「F3」を使い、TLB Errata対策のパッチを有効にし、メモリは"Gangedモード(いわゆるデュアルチャンネル)"に設定した。また、グラフィックスカードのドライバは最新ベータ版を使用している。

フルHDでも10000オーバー!

手始めに定番の「3DMark06 build110」による比較を行ってみよう。アンチエイリアスなどをかけない標準状態の「ノーマル設定」と、"4X アンチエイリアス"や"16X 異方性フィルタリング"を追加した「高負荷設定」の2パターンで比較してみた。

HD 3870 X2のパフォーマンスはさすがデュアルGPUといったところ。アンチエイリアス等を利用しなければフルHDでも10000ポイントオーバーという高いスコアもさることながら、高負荷設定では解像度SXGAとの落差が1000ポイント弱と非常に少ない。ここで注目したいのは、HD 3870のCrossFire構成との差だ。ノーマル設定ではCrossFireが完全にHD 3870 X2の頭を押さえ付けているが、高負荷設定では逆にHD 3870 X2に負けている。負荷の軽い状態ではGDDR4メモリの存在やPCI Express 2.0対応といったポイントによってHD 3870のCrossFire構成が優位に立つが、負荷が高くなると今度はカード内部でGPUが接続されているHD 3870 X2の処理効率の方が上回る、というのが原因といえそうだ。

フラッグシップならではの爽快感は今一つ

次は「LOST PLANET EXTREME CONDITION」でのテストに入る。4X 異方性フィルタリングおよび、その他の設定をすべて「高」に設定したものを「ノーマル設定」とし、4X アンチエイリアスと16X 異方性フィルタリング、さらに「影の品質」「フィルタの品質」「Furの品質」に「DX10」を追加したものを「高負荷設定」としている。画面解像度は16:10のものに統一した。

このタイトルはNVIDIAのサイトでも大きく採り上げられたものだけに、ノーマル設定なら8800 GTXが安定した強さを見せている。Radeon系はなぜかCaveテスト時にフレームレートが落ち込むなど、最適化度の違いが如実に出てしまったといえるだろう。また、フラッグシップモデルであるHD 3870 X2はHD3870のCrossFire構成にも微妙に劣る結果となった。3DMark06と異なり、こちらは高負荷設定でも常にCrossFire環境の方がよい結果を残していることから、メモリやバス周りの仕様変更が地味に影響していると考えられる。

『Crysis』はやっぱり重かった

さて現行のPCでは高画質でのプレイは難しいとされる『Crysis』のテストに入ろう。「高負荷設定」はゲーム中で4X アンチエイリアスを追加しているだけで、画質はすべて「高」に統一している。

高画質設定 & フルHDというもっとも重い条件を除けば、HD 3870 X2はそこそこの成績を収めている。CrossFire構成との性能差はほぼ誤差といってよいものでしかないが、これはCrysisの負荷が高すぎて性能差が見えにくくなっているだけかもしれない。ただ、HD 3870 X2でのテストでは遠景の一部にチラ付きがあるなど、まだまだドライバ周りの最適化が済んでいない印象が強かった。

CrossFireで動かない『Call of Duty 4』も問題なし

さて、次は個人的に最近もっとも楽しませてもらった「Call of Duty 4: Modern Warfare」でのテストだ。最新ゲームにもかかわらず描画が非常に軽いため、このテストでは「高負荷設定」でどこまでよいfpsが出るかが注目ポイントになるだろう。アンチエイリアスを無効化し、テクスチャの設定をすべて「Extreme」にしたものを「ノーマル設定」、4X アンチエイリアスと異方性フィルタリングを最大にしたものを「高負荷設定」としている。

このテストは、HD 3870のCrossFire構成では動作しなかったため、シングル構成のHD 3870との比較を行ってみよう。画質ノーマル状態ではHD 3870とHD 3870 X2の差はほとんどないため、ノーマル画質でプレイするならHD 3870 X2を使う意味は全くないと断言してよいだろう。しかし、高負荷設定で使うならノーマル設定とほぼ同じ結果を叩き出すHD 3870 X2は実に魅力的な選択である。8800 GTXもノーマル設定なら抜群の強さを見せるが、高負荷設定になるとフレームレートの落ち込みが激しくなる。デュアルGPUカードの面目躍如、といったところだろうか。

それでは引き続き、気になる消費電力をチェックしてみよう。