キヤノンは、ライブビューに対応し1220万画素のCMOSセンサーを搭載したエントリー向けデジタル一眼レフ 「EOS Kiss X2」と、EOSシリーズ用交換レンズ「EF200mm F2L IS USM」「EF800mm F5.6L IS USM」、手ブレ補正機能を搭載した「IXY Digital 20 IS」などの製品発表会を開催した。製品の詳細な仕様などについては、別記事を参照してほしい。

内田恒二キヤノン代表取締役社長(左)と村瀬治男キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長

発表会では、キヤノンの内田恒二代表取締役社長が挨拶を行った。同社の推進するクロスメディアイメージングを支えるのはプリンターとデジタルカメラ。昨年は一眼レフとコンパクトを合わせて計18機種を投入し、EOSシリーズの累計は3,000万台、EOS DIGITALの累計は1,000万台に達した。これらの機種を市場に送り込む原動力となったのは、3DCADによる設計とセル生産方式の進化により、キーコンポーネントの内製で生産速度とコストが有利に働いたことだという。2007年にはデジタル一眼レフ320万台、コンパクトデジタルカメラ2,140万台を売り上げ、世界シェアナンバーワン、8期連続増収増益を達成した。2008年にはデジタル一眼レフ440万台、コンパクトデジタルカメラ2,500万台の売り上げと、9期連続増収増益を目指し、それを達成するのに欠かせないカメラの新製品の一端が「EOS Kiss X2」だと述べ、2008年はカメラ以外の画期的な新製品も送り込むと、挨拶を締めくくった。

内田恒二キヤノン代表取締役社長

1220万画素、ライブビュー対応の「EOS Kiss X2」

続いて同日発表の新製品の概要が解説された。デジタル一眼レフは、1220万画素のCMOSセンサーを搭載し、ライブビューにも対応したエントリー向けの「EOS Kiss X2」(以下Kiss X2)を3月下旬から発売する。Kiss X2では、キヤノンのデジタル一眼レフシリーズとしては初めて「DIGITAL」の文字も、デジタルであることを示す「D」も製品名から消えた。このことについては質疑応答で「銀塩をやめるという意味か」という質問があったが、「もうデジタルが当たり前になったから外した」とのことだった。

EOS Kiss X2前面。Kiss Xとほとんど同じという印象だ

EOS Kiss X2背面。3型液晶を入れたことでボタンは周辺に押しやられた印象がある

ISOボタンは上面電子ダイヤル後部に移設された

オプションで発売されるバッテリーグリップ「BG-E5」

Kiss X2の主なスペックは1220万画素CMOSセンサーに、画像エンジン「DIGIC III」が組み合わせられる。A/D変換は上位モデルと同等の14bitとなり階調表現能力が向上、また高輝度側のダイナミックレンジを約1段分拡張する「高輝度側・階調優先」機能も搭載されている。さらに、被写体の明るさとコントラストを解析して暗い部分を自動的に明るくする「オートライティングオプティマイザ」機能が新たに搭載された。内部的にはPhotoshopでいうレベル補正と同等の処理を行っているという。この機能は標準状態では常時オンになっており、カスタムファンクションでオフにすることも可能。なお、撮影した画像に対して後処理としてオートライティングオプティマイザを利用することはできない。

Kiss X2の外観上の特徴は背面液晶が3型と大型化されたこと。ただし、液晶モニターの画素数は23万画素と従来機種と同等。また、もともとコンパクトな筐体に3型液晶が押し込まれた形になり、ボタン類のレイアウトが大幅に変更されている。新しく搭載されたライブビュー機能では、一度ミラーアップして位相差検出AFセンサーを利用する「クイックモード」と、画像を見ながらコンパクトカメラと同様のコントラスト検出によるAFを行う「ライブモード」の2種類が用意される。ライブビュー利用時には5倍/10倍に拡大してピントを確認することもできる。

シャッターユニットとチャージユニットを一体化した新型シャッターユニットと、DIGIC IIIの処理能力で連写機能は約3.5コマ/秒で、連続撮影枚数はJPEG(L、Fine)で約53枚とKissXに比べて2倍に向上した。また、ファインダーの視野倍率はKissXの0.8倍から、約0.87倍へと向上した。また、アイピース下にはセンサーが新設されファンダーを覗いた時に液晶モニターが自動的に消えるようになった。記録メディアにはKissシリーズとしては初めてSDメモリーカードが採用されたほか、バッテリーは従来型に比べて容量が1.5倍(1080mAh)の「LP-E5」に変更された。

従来モデル同様、新バッテリー「LP-E5」に対応したバッテリーグリップなどのアクセサリ群も発売される。「LP-E5」は6,000円(税別)、バッテリーグリップ「BG-E5」は1万6,000円(税別)。

バッテリーグリップを装着した状態

シャッターユニットとチャージユニットを一体とした新設計のシャッターユニット

EOS Integrated Cleaning System機構を含むCMOSセンサーの構造図