SaaS事業の台頭とホスティングの関係性


――SaaS(Software as a Service)も2007年には企業からの関心が高かった

青山氏が愛用するNOKIA製スマートフォン端末。ホスティング業界にとって、SaaSやそれをいかすスマートフォンはポイントになっているという

SaaS/ASP(Application Service Provider)は、ホスティングとほぼ同様のものだと考えている。ホスティングは基本的にサーバーそのものを提供し、SaaS/ASPはサービスも付加する。SaaSが2007年に関心を集めたのは、場所を選ばず、どこからでも仕事ができる点が大きな理由だったのではないか。スマートフォンを使えば、パソコンを持ち歩かなくてもさまざまな機能を利用できる。その利便性が企業に認識され、セキュリティが高いことも評価されている。

――SaaSの影響はあるか

SaaSの利点は、Webブラウザを通じて、簡単に、わかりやすいかたちで多様なサービスを提供できることだ。2008年には、さらに便利なサービスが新たに現れるのではないか。ホスティングとの関連をみると、いわば、ホスティングの業態に、さまざまな機能やコンテンツを載せることで、SaaSの事業が成り立つという側面もあるのではないか。もうひとつは、SaaSの事業者が24時間体制でサーバーの運営をしていくことはなかなかたいへんなことで、すべての事業者ができるとは限らないという点だ。そのようなインフラを、ホスティングが支えることができる。

――今後、ホスティングの要素として、何が伸びるか

内部統制強化の動きにともない、企業間などでやり取りされるメールは保管しておかなければならないことから、アーカイビングサービスへの需要がさらに出てくる。パソコンのデータをバックアップするサービスは従来、なかなか受け入れられなかった。かつては、これらのようなデータのバックアップは、CD-ROMでの保存で十分だといわれてきた。しかし、ネットワークの進化、普及により、時代は変わった。

――2008年以降、市場はどう変わるか

今後は、IPv6(Internet Protocol Version 6)への移行が、より現実的な課題になってくるわけだが、ホスティングは新しく参入することが、比較的簡単だが、IPv6への対応は、設備投資も必要になり、十分にできない企業も出てくるかもしれない。一方、IPv6への移行が始まっても、すぐにすべてIPv6に切り替わるわけではなく、既存のIPv4(Internet Protocol Version 4)への対応も継続しなければならないのだから、ホスティング事業を展開していくには、それだけの能力を備えていなければならない。2000年以前に導入したサーバーだけで運営しているところなどは、そうした状況の変化に追従できないだろう。業界内で淘汰が起きる可能性もある。