次に最低限15カットの写真を三脚に固定したカメラで撮影する。これはキャリブレーションマットに印刷されているドット記号の位置の数である。細かく撮影したい場合は中間の位置を使うなどするとよい。撮影は、面倒でもしっかりとしたセッティングを心がけるようにしないと綺麗な結果を生む事ができない。ただし、闇雲に大量の撮影を行っても精度が劇的に変化するわけではない。そこで【図03】、【図04】のように撮影の参考例をイラスト化してみたので参考にして欲しい。

【図03】撮影は面倒でもしっかりと準備をすることが大切。カメラのストロボはオフとし、三脚で固定してから間接光で撮影すると良い。天井からの光はトレーシングペーパー等でディフューズしよう

【図04】大きな外付けのストロボ等があれば天井にバウンスさせることで自然な光源を作り出すことができる

重要なのは、フラッシュ内蔵型のカメラの場合はフラッシュ機能をオフとし、外部フラッシュを間接投射、あるいは影が出ないように注意した室内光等で撮影することである。この時、キャリブレーションマットのドット記号が識別できる角度から撮影しなければならない。そのため、突起が細かく複雑な形状や、穴の空いた物等を取り込むことは難しい。それでも別の角度から数カットあるいは上部からのカットという具合にいくつかのパターンを撮影することで、ある程度は補うことができるが、自動処理による細部の仕上がりの甘さはある程度譲歩しなくてはならないだろう。

また、背景は白もしくは黒が基本だが、それぞれの色が含まれているオブジェクトの場合はブルーバック等で対処するとよい。ただし、撮影方法に失敗すると【図05】のように背景色が映り込んでしまう。これは背景色にグリーンの模造紙を利用しているが、オブジェクトと背景との距離が近すぎるために映りこみが発生してしまった悪い例である。

【図05】グリーンバックが映り込んでしまった例。白または黒に近いオブジェクトの場合はまったく異なる色調の背景で撮影を行うと、後処理としてのマスキングが楽になるが、色の映りこみが発生するので撮影はかなり難しい

作例では、デジタル一眼レフに60mmという中望遠レンズを装着し、歪みを抑えて撮影している。また、撮影に際しては、焦点距離情報が曖昧なズームレンズではなく、単焦点レンズが望ましい。仕上がりは実際に3Dソフトで作品を作っている方の目には物足りなさを感じるかも知れない。だが、最初は撮影で色々と試行錯誤を余儀なくされるとはいえ、手っ取り早く3D化させ、必要に応じてSTRATA LIVE 3D[in]等で立体化サンプルを作成したいという場合には大変重宝するツールと言える。なお、撮影条件が良ければ、全てを自動処理で完結させることもできる。

撮影が完了したら新規フォルダに関連する撮影データをまとめておく。あとはSTRATA FOTO 3D[in]での処理となる。