最後に

デザイナーを対象ユーザーとしている Microsoft Expressionブランドですが、Expression BlendはWPFアプリケーション開発に関連するため、デザインに興味のある開発者にとっても重要な製品です。

アプリケーション開発者は開発に特化したVisual Studioを使い、デザイナーはデザインに特化した Expression を使うことが理想とされています。作成したプロジェクトは互いの開発・デザイン環境で共有することができるため、開発者とデザイナーが共同で WPF アプリケーションを開発できるというわけです。

しかし、アプリケーション開発者である筆者の意見ではありますが、Expression Blendを利用してGUI設計を専門的に行うデザイナーは少数でしょう。当面は、.NET Frameworkに深い知識のある開発者にVisual Studioと併用して WPFアプリケーション開発に利用されるというシナリオの方が現実的です。

多くのデザイナーは、誕生したばかりの Expression 製品に慣れておらず、デザインをするだけならば使い慣れているツールを使いたいと考えることが予想されます。また、作品がそのまま開発に組み込まれることにも慣れていませんし、それを意識してデザインすることにも慣れていません。デザイナーが設計した GUI を画像ファイルで受け取って、開発者がそれをコードに起こす作業のコストが安ければ、組織はそちらを選択するでしょう。

Visual Studio + Expressionによる次世代アプリケーション開発が主流になるかどうかは、WPFアプリケーションの普及と、開発者とデザイナーの相互理解が重要な鍵となりそうです。