富士フイルムの「FinePix F50fd」(以下、F50fd)は、同社のコンパクトデジカメでは唯一の1200万画素をもつフラッグシップ機。手ぶれ補正機構と進化した顔認識機能「顔キレイナビ」を搭載していることが最大の特徴だ。マイコミジャーナルの「価格情報」での平均税込み価格は3万6,319円(10月8日現在)となっている。このF50fdをレポートしてみよう。

F40fdをベースに1200万画素化

F50fdはF40fdの後継モデルにあたり、同社のコンパクトカメラのラインナップの中でももっとも上位のモデル。スタイルを重視した「Z100fd」などもあるが、このF50fdは"写真を趣味としている人に向けたカメラ"とのことで、高い撮影機能を与えられている。オートだけでなく、シャッター優先AE/絞り優先AEでの撮影も可能だ。

「FinePix F50fd」

撮像素子には新型の「スーパーCCDハニカムVII HR」を採用している。F40fdと比較すると、有効画素数が830万画素から1200万画素に強化された。撮像素子サイズは1/1.6型と変わらない。レンズは、焦点距離が8~24mmの3倍ズームレンズを搭載しており、35mm判換算では35~105mm相当となる。ただ、同じサイズのCCD・焦点距離なのに、F40fdの36~108mm相当から少しワイド寄りになったのが不思議。

富士フイルムはこの秋発売したF50fd、Z100fd、S8000fdから光学式手ブレ補正機構を搭載した。それまでの同社は、高感度によってブレを防いできた。高感度による速いシャッター速度であれば、手ブレだけでなく被写体ブレまで防ぐことができる。しかし、多くのメーカーがコンパクトデジタルカメラに手ブレ補正機能を搭載し始めており、市場の声が多かったためだろう、富士フイルムも光学手ブレ補正を搭載することになった。

また、カラーバリエーションはF31fdとF40fdとFシリーズはシルバーのみだったが、F50fdは9月30日からブラックが追加されている。サイズも手ブレ補正機構を搭載しつつ、一回り小さくなっているところは評価したい。

F50fd。新開発「スーパーCCDハニカムVII HR」を搭載する

F50fdの左面。厚みは22.9mm(突起部含まず)としっかりした印象

F50fdの右面。A/V OUT端子、専用USB端子、ストラップ取り付け部、DCカプラー用ケーブルカバーを備える

F50fdの上面。右側にブレ防止ボタンを備え、光学手ブレ補正(CCD方式)のオン/オフを切り替える

F50fdの背面。23万画素TFTカラー液晶モニターは前モデルの2.5型から2.7型に拡大。新たにワイドビューフィルム採用することで視野角も拡大している

xDピクチャーカードとSDカードのデュアルスロット。バッテリーはフル充電で約230枚撮影できる(CIPA規格)

独立ボタンの操作性は?

F50fdを手にすると、ボディサイズのわりにずしりと重い感じ。それだけ中身が詰まっているのだろう。上面の電源ボタンを押すと、レンズが伸びて撮影状態になる。起動はごく普通で待たされる感じはしなかった。シャッターボタンも大きく使いやすい。ズームレバーもシャッターボタンの回りにあって、自然に操作できる。オートフォーカスもそこそこ速かった(顔認識については後述)。

撮影モードは背面右上の大きなモードダイヤルで切り換える。オートやマニュアル(プログラムAE)、「風景」や「スポーツ」などを選択できる「シーンポジション」などが並んでいる。ユニークなのは「ナチュラルフォト」で、暗い場所でもストロボを使わずに自然な雰囲気で撮影できるという。今回の撮影でも重宝した。

画像の再生はこのモードダイヤルではなく、専用の再生ボタンを使う。メーカーによってはモードダイヤルを回して再生に切り換えるものもあるが、再生はボタンのほうが使いやすいと思う。

撮影状態で十字キーの中央にあるメニューボタンを押すと「測光」「ホワイトバランス」「連写」「AFモード」「セットアップ」の選択画面が表示され、そこから設定を行なう。そして「F」ボタン(フォトモードボタン)は、バッテリーの消費電力を設定する「パフォーマンス」や「感度」「記録画素数」「FinePixカラー」を設定する。

しかし、メニューボタンと「F」ボタンの両方に撮影機能が割り振られているため、どちらのボタンから設定するか迷ってしまう。階層も深く、機能にたどり着くまで面倒に感じてしまった。個人的には、例えば「F」ボタンにすべての撮影機能を割り当てて、メニューボタンはあまり使わない設定を割り振るといったように、種類ごとに分けたほうがいいと思う。

もうひとつ気になったことは、特定の機能を割り当てた独立ボタンが多いこと。通常、独立ボタンはよく使う機能に割り当てる。再生ボタンや「DISP」(ディスプレイ)ボタンは独立してあったほうが便利だけど、上面部の「ブレ防止」ボタンや、背面左下にある「顔キレイナビ」ボタンの必要性が感じられなかった。手ブレ補正はほぼ入れっぱなしのはずだし、顔認識はフラッシュのオン/オフよりも使用頻度は低いと思う。これだけボタンを置くスペースがあるのなら、ほかの機能を割り振ったほうがいいのではないか。個人的には、オートフォーカスのポイントを簡単に指定できるようにしてほしいと思った。

撮影時の画面。表示される情報は過不足なし。表示も見やすい

再生時、一画面で100コマを表示する「マイクロサムネイル」機能を新たに搭載

(F)ボタンを押すと、パフォーマンス、感度、記録画素、カラーが設定できる

感度の切り換え。オートでもたくさん種類がある

十字キー中央のメニューボタンを押すと表示される撮影メニュー画面。測光、ホワイトバランス、連写、AFモードなどが設定できる

撮影メニュー下のセットアップを選択すると、カメラ機能の設定を行うセットアップメニューが表示される。ブレ防止モードの「常時」「撮影時」はここで設定