オリンパスはこのほど、都内でデジタル一眼レフカメラ「E-3」高性能レンズなどのプレス向け発表会を開催した。ネーチャーフォトのトップを狙い、長期的にはシェア20%を目標とするといった意向を明らかにした。

目標は世界シェア20%

オリンパス「E-3」の発表会場には海外プレスを含めて200人以上が集まり、イスが不足するほどの盛況を見せた。

最初に挨拶に立った大久保雅治社長は、「当社初のレンズ交換式デジタル一眼レフ『E-1』を発売してから4年が経ちました。おかげさまで今年発売した『E-410』『E-510』も好評です。現在、デジタル一眼レフはキヤノンさん、ニコンさんが圧倒的なシェアを持っていますが、将来的には3強の一角に入りたい。そのためには20%程度のシェアを目標に頑張りたいと思います」と語った。シェアについては後半の質疑応答で、「20%というのは世界シェアでの20%。時期的には4~5年後を目標にしている」とさらに詳しく解説。ちなみに現在のシェアは7~8%程度であるという。

続いて壇上に上がったのは商品開発部長の朝倉康夫氏。E-3の技術的な特長について解説した。「E-3のポイントは4つ。(1)スピード、(2)画質、(3)ライブビュー、(4)信頼性です。オートフォーカスはどこよりも高速で、11点のAFポイント位置は多くのカメラマンにリサーチして決定しました。LiveMOSセンサーは増幅回路を強化することで画質を向上させています」。そのほか、E-3の特長について詳しく説明が行なわれた。

会場に置かれた「E-3」

モニタを開いた状態

オリンパスイメージング株式会社 代表取締役 大久保雅治氏

会場には海外の報道関係者も

トリップ・ジャーニー・アドベンチャー

続いてE-3のコンセプト説明を行なったのは商品戦略本部長の小川治男氏。「今年発売したE-410とE-510、そしてこのE-3でラインナップが完成しました。熱心なE-1ユーザーから後継機はどうなるんだという声をたくさんいただいていましたが、納得できる最高のモノを提供したいということで時間がかかってしまいました」。この説明で感心したのはそれぞれのモデルと撮影シチュエーションの図だった。「E-410=Trip、E-510=Journey、E-3=Adventure」と書かれている。3機種の位置づけがひと目で理解できる。

約5段分の効果をもつ手ブレ補正については、撮像素子ユニットを動かすアクチュエータの開発が大変だったとのこと。「E-3はSSWF(ゴミ取り機構)を搭載していますので、ボディ内で手ブレ補正を行なう場合はそれもいっしょに動かさないといけない。そのためにハイパワーで高速なアクチュエータが必要ですが、ハイパワーなものは制御が大変など問題もありました。そこで当社のマイクロマシン技術を使って、アクチュエータを新しく開発しました」。

また、E-3は通常のテストだけでなく、キリマンジャロやアフリカなどに実際に持ち込み、1カ月以上のフィールドテストを行なったという。「オリンパスは"ネーチャーフォトのトップ"を目指しています。E-3はフィールドテストを行ないましたが、冒頭に見ていただいたビデオ(山岳や砂漠での撮影シーン)はイメージビデオではなく、本当にああいったところで撮影しています。砂嵐のようなところでレンズ交換しているのを見て、私も大丈夫かなと思いましたが、ゴミがひとつも写っていませんでした」。ボディの堅牢性は風雨の中で撮影するためだけでなく、衝撃などからカメラ内部の高性能な電子部品を守る意味もある。また、ネーチャーフォトでは三脚や一脚が使えないことも多い。そこで手ブレ補正が役に立つ。さらにフォーサーズならボディやレンズが小さくできるから、荷物も減らせるというわけだ。

オリンパスイメージング株式会社 開発本部商品開発部長 朝倉康夫氏

世界最速のオートフォーカスを強力にプッシュしていた

合焦時間の比較。早く実際に試してみたい

手ブレ補正効果の比較。5段以上の効果があるという

デジタル専用レンズに限っての本数比較。社外品を合わせると34本だという

ストロボやグリップなどのアクセサリーも置かれていた

デジタルカメラの新しいカテゴリー

質疑応答ではシビアな質問も飛び出した。トップモデルとして1010万画素は少なくないかという質問に対しては、「画質は画素数だけではありません。レンズとのマッチングなども含め、トータルで画質を良くすることが重要だと思います」。ボディが大きすぎないかということについては、「これだけの機能を盛り込んだものとしては小さいと思います」と、胸を張って返答していた。

先のシェア20%について、どうやって達成するのかという質問に対する返答も興味深かった。「コンベンショナルな一眼レフとしては、そのジャンルの中でオリンパスの付加価値を提供していくことだと思います。併せて販売体制も強化していきます。ただ、オリンパスはチャレンジャーですので新しいこともやっていきます。例えばデジタルカメラはコンパクトと一眼レフの間に大きなギャップがありますが、ここに新しいカテゴリーを作っていくことも考えています」。オリンパスからどんなカメラが登場するのか、とても興味深い。

オリンパスイメージング株式会社 商品戦略本部長 小川治男氏

E-410、E-510、E-3の位置づけがよくわかる

マイクロマシン技術を応用し、アクチュエータを開発

E-3の試作機が多く用意され、発表会後には触ることができた