そのDDR3であるが、各メーカーともに70nmプロセス以下で本格生産に入る目処がほぼついたようだ。まずSAMSUNGであるが、相変わらずDRAMマーケットはPCが牽引することを示した上で(Photo18)、PC向けメモリの搭載量が次第に増えてゆく事を指摘(Photo19)した。

Photo18:iSuppliとDataquestのデータを並べてあるあたりが面白い。グラフ中の紫にあたるものが示されていないが、これが恐らく"Other"になると思われる。

Photo19:これは言うまでも無くWindows XPやWindows Vistaの「お陰」というべき現象。2007年になって、やっと"OS Recommended"を"Average"が抜く状況になった事が判る。

面白いのはここからだ。Process Transitionは引き続き微細化の方向に進むのは当然として(Photo20)、Samsumgはいち早く60nm世代に移行する事を表明している。また以前からDRAMのDensityが512Mbit~1Gbitに以降しつつあることは明確であるが(Photo21)、Samsungはいち早く2Gbit品の生産を開始するとしている。この60nm世代製品に関して簡単な性能とスペックが提示された(Photo22)。ごらんの通り消費電力は80nm世代と比べて最大30%以上節約でき、パッケージサイズもやや小型化できる事が判る。ダイそのものはもっと小さいのだろうが、配線を考えるとパッケージをあまり小さくしても困る(むしろ配線が難しくなる)訳で、それでも小型化できたことが興味深い。もっと興味深いのは、60nm世代では1Gbit以上しか作らないと宣言していることで、従ってDIMMの容量は必然的に1GB以上ということになるだろう。

Photo20:TOP5社は何れも90nm以下のプロセスに既に移行を始めており、これは問題はない。ただ、その後に続くベンダーがどこまでこれに追従できるか、が微妙なところである。

Photo21:DDR3に関しては256Mbit品は殆どニーズが無く、最低でも512Mbitからでメインは1Gbitと予定されている。ただEmbeddedなどではこれは逆に不便では? という気もするが、EmbeddedはやっとDDR2に移行し始めたばかりであり、DDR3の導入が始まるまでには相当かかりそうだから、これはこれで構わないのだろう。

Photo22:IDD1は2cycle Burst実行時の消費電力。IDD2/3は同様に4cycle/8cycleである。IDD4RはBurst of 4 Maximum Read Current、IDD4WはBurst of 4 Maximum Write Currentを意味する。電圧はどちらも1.5Vなので、純粋に消費電力がこれだけ減ることになる。

ちなみにSamsungではDDR3-800はCL6、DDR3-1066でCL7、DDR3-1333はCL9、DDR3-1600ではCL10がそれぞれ主流の製品になると見ている(Photo23)。これまでMain Streamでは速度は上がってもLatencyは一定な傾向が続いたが、DDR3世代の高速品ではLatencyが短縮する方向に向かうと見ていることで、これによってMain Stream向けは早いタイミングでDDR3-1600に移行する可能性があると見なしているようだ。

Photo23:このグラフ、厳密には正しくない。というのは、DDR2-800に関しては本来CL6が主流になる筈だったが、IntelがハイエンドのみのサポートとしてCL5のみをバリデーションの対象とした結果、市場にはCL5製品が大量に出回るというちょっと変な事になってしまい、ここではLatencyが12.5nsまで下がっているためだ。同様にDDR400もCL2.5製品がかなり出回っており、ここもLatencyが12.5ns程度になっている。試しにこれを補正したのがグラフ1である。