米Six Apartの日本法人であるシックス・アパートは17日、企業向けのブログソフトウェア「Movable Type Enterprise 4」の提供を本年11月下旬より開始すると発表した。本製品は、同社が今年8月8日に発表した「Movable Type 4」をベース開発したもので、企業で利用するための機能が追加されている。

発表を行うシックス・アパートの代表取締役である関信浩氏

「Movable Type Enterprise」は、5年以上の歴史を持つブログソフトウェア「Movable Type」をベースとして開発されており、最初のバージョンは2006年3月にリリースされた。本製品は2度目のバージョンアップとなる。

「Movable Type」は5年以上の歴史を持つブログソフトウェア

本製品ではユーザーインタフェースを全面刷新し、PCのソフトウェアのように誰でも使えるよう、ユーザビリティーを向上したという。例えば、入力中の記事を自動で保存できるオートセーブ機能のほか、HTMLの知識がなくても文字の装飾などが行えるWYSIWYGエディター、画像のアップロードや管理を簡単に行えるファイルマネージャーといった機能が追加された。

そのほかCMS(コンテンツ管理システム)機能も強化されている。ブログ記事以外のWebページの管理機能や、ブログの新着情報をポータルで表示するマルチブログ機能、画像やファイルを含むバックアップ機能、ブログのコピー機能などが加えられた。また、テンプレート単位で細かくパブリッシング方法を指定し、URLは同一のままで動的/静的出力の切り替えを状況に合わせて選択できるハイブリッドパブリッシング機能も追加された。

本製品だけでWebサイト全体をセキュアに管理できるようになったことも特徴のひとつである。ほかにも、エンタープライズ向けデータベースとの連携機能、数千人レベルの大規模ユーザーを効率的にロール(役割)とグループとで権限コントロールして管理できる機能、Excelなどで作成したユーザーの一覧表を一括で登録できる機能、ワークフローに応じた「メール通知」機能など、企業で利用する上で求められる機能が追加されている。

インターネットを利用した調査を行っているgooリサーチによると、企業の65.3%が部署を超えた社員同士と、63.8%が経営層と一般社員とのコミュニケーションが不足しているという調査結果があるという。また、同社の製品担当執行役員である金子順氏は「企業内の情報共有は今もメールが主流だが、メールは膨大な量が届くことが多い。また情報が時系列となり、検索性が低く、集合知にならないなどの問題点がある。その一方、グループウェアはピラミッド型組織にはフィットするが、現在のようなネットワーク型組織にフィットするとは言えない。社員が遠慮して、持っているアイディアを出しにくいなどの問題点がある」と指摘する。

シックス・アパートの製品担当執行役員である金子順氏

gooリサーチによる調査結果

企業内の情報共有の問題点

また日経BP社の「社内ブログ革命」によると、社内の情報共有やコミュニケーションで困っていることとして、「ノウハウが共有できていない」(76.6%)、「他部署の情報が入ってこない」(50.8%)といった回答が多く、今後社内で利用したいツールとして約2人に1人が社内ブログを取り入れたいと考えているという。その一方で、現状では社内ブログを利用している企業はまだ全体の20%程度である。

社内の情報共有やコミュニケーションで困っていること - 「社内ブログ革命」による調査結果

今後社内で利用したいツール - 「社内ブログ革命」による調査結果

シックス・アパートによると、DENONやファーストリテイリング、カシオ計算機、日本オラクルといった企業においては、すでに「Movable Type Enterprise」を利用した社内ブログの活用を開始しているという。DENONは画像の管理や配信をブログ化し、世界中の販売代理店の営業担当者が商品のプロモーションに使う写真素材を自由にダウンロードできるようにし、業務の分量と人件費の削減に成功した。また、ファーストリテイリングは、本部と店舗(UNIQLO)を結ぶ"イントラブログ"を導入し、現場の声の吸い上げに成功した。カシオ計算機は、社内のWebサイトをブログ化し、コンテンツ公開までの時間と工数の短縮化に成功。ポータルと連携してブログへの最新投稿を社員に通知して情報の活性化を図った。これらの状況から、シックス・アパートではイントラブログ、そしてMovable Type Enterprise 4の広がりを期待している。

各企業での導入事例

本製品の1年目の基本ライセンス(マルチサーバー/50ユーザー)価格は126万円(税込)で、既存のMovable Type Enterprise1.5と同価格。ユーザー数が50を超える場合には、別途に追加ユーザーライセンスパックを購入する必要がある。

なお、2年目以降は年間メンテナンス料として25万2,000円(ただし50ユーザーまで)が必要。既存ユーザーは、追加料金なしで新バージョンに移行できる。