インテルは5日、マルチプロセッサ・サーバ向けのクアッドコア・プロセッサとして、Coreマイクロ・アーキテクチャに基づく「クアッドコア インテルXeonプロセッサー7300番台」を発表した。また、同プロセッサとIntel 7300チップセットを組み合わせた新しいマルチプロセッサ・プラットフォーム"Caneland"(開発コード名)も公表した。

マルチプロセッサ・プラットフォーム"Caneland"の概要

同プロセッサは、マルチプロセッサ・サーバ向けとしては初のクアッドコア・プロセッサだといい、開発コード名で"Tigerton"と呼ばれていたもの。同プロセッサの投入により、Xeonプロセッサ・ファミリの全製品がCoreマイクロ・アーキテクチャへの移行を完了したことになる。動作周波数2.93GHzでTDP 130Wの最高性能版、動作周波数1.86GHzでTDP 50Wの低消費電力版、複数のTDP 80W版、の大きく3種に分類される。

インテル 代表取締役共同社長 吉田 和正氏

まず概要説明を行なった同社の代表取締役共同社長の吉田和正氏は、仮想化対応やマルチコア、4way以上のマルチ・プロセッサといったトレンドを踏まえ、「ユーザーが必要とする時期に投入できた」として競合に先行してマルチプロセッサ・サーバ対応のクアッドコア・プロセッサを製品化したことの意義を強調した。また、従来のマルチプロセッサ・サーバ向けのデュアルコア・プロセッサがNetBurstマイクロ・アーキテクチャに基づくXeon 7100番台(開発コード名Tulsa)と比べ、今回発表のXeon 7300番台では「通常の性能で2倍、仮想化時の性能で2.5倍、電力効率は3倍で、低電力版では熱設計電力50Wのものもある」とし、電力効率に優れたCoreマイクロ・アーキテクチャに移行したことに伴うメリットをアピールした。

同氏はまた、同社が「チックタック・モデル」と呼ぶ、プロセスの微細化とマイクロ・アーキテクチャの更新を交互に進める戦略について紹介し、2007年に45nmプロセスの"Penryn"、2008年に45nmプロセスで新マイクロ・アーキテクチャの"Nehalem"、2009年に32nmプロセスの"Westmere"、2010年に32nmプロセスで新マイクロ・アーキテクチャの"Sandy Bridge"と、毎年刷新を繰り返すというロードマップを説明した後、「マイクロプロセッサのリーダーシップを維持していく」とした。

今後のロードマップ

インテル インテル技術本部長 及川芳雄氏

続いて、詳細説明を行なったインテル技術本部長の及川芳雄氏は、プロセッサ単体でコア数の倍増およびCoreマイクロ・アーキテクチャへの移行が実現したことに加え、プラットフォーム・レベルでは「プロセッサごとに独立した1066MT/s動作の専用高速インターコネクトの採用により、システム帯域が2倍に拡大」「キャッシュ全体でのデータの所在を示す64MBのスヌープ・フィルターの搭載により、インターコネクトを通過するスヌープ・トラフィックを削減」「FB-DIMMに対応。最大32本までサポートし、最大メモリ容量を従来の4倍に拡大可能」「I/Oアクセラレーション・テクノロジーを搭載」という4つの新技術が採用され、システム・パフォーマンスを高めていることを紹介した。

新プラットフォームの特徴

なお、次世代のマルチプロセッサ・サーバ対応プロセッサとなるのはPenrynファミリーの"Dunnington"(開発コード名)で2008年に登場予定だが、CanelandプラットフォームはDunningtonとソケット互換だという。

クアッドコア インテルXeonプロセッサー7300番台の品種と価格は以下の通り。

製品名 スペック 価格(1,000個受注時)
クアッドコア インテルXeonプロセッサー X7350 2.93GHz、1066MHzシステム・バス、L2 8MB、TDP 130W 26万9,000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサー E7340 2.40GHz、1066MHzシステム・バス、L2 8MB、TDP 80W 23万1,000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサー E7330 2.40GHz、1066MHzシステム・バス、L2 6MB、TDP 80W 16万3,000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサー E7320 2.13GHz、1066MHzシステム・バス、L2 4MB、TDP 80W 13万7,000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサー E7310 1.60GHz、1066MHzシステム・バス、L2 4MB、TDP 80W 10万円
クアッドコア インテルXeonプロセッサー L7345 1.86GHz、1066MHzシステム・バス、L2 8MB、TDP 50W 26万9,000円

同日付で量産出荷開始となる。

なお、日本国内でクアッドコア インテルXeonプロセッサー7300番台搭載サーバの製品化を予定するベンダーとして、サン・マイクロシステムズ、デル、日本アイ・ビー・エム、日本電気、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通の7社が公表されたほか、「インテルS7000FC4URサーバー・プラットフォーム」の提供を受けるチャネル・パートナーとしてHPCシステムズ、コンカレントシステムズ、日本コンピューティングシステムの3社が公表されている。

会場にデモ用として用意してあったXeon 7300番台搭載サーバ。これがインテルS7000FC4URサーバー・プラットフォームの実機だと思われる。前面下部両側に見えているのはスピーカではなく、冷却ファンで、前面から吸気していた

会場に展示してあったXeon 7300番台のプロセッサ。よく見るとうっすらと"Tigerton"と刻印してあるのが見える