山形富士通、富士通研究所、神奈川科学技術アカデミーは9日、次世代HDD技術とされる「パターンドメディア」の実証に成功したと発表した。試作ディスクを使った情報の記録・再生に成功したもので、1Tbit/平方インチという超高密度記録が可能なHDDへの道を開くという。
現在、HDDは1台で容量1TBを実現した製品まで発売されているが、大容量化への要求はとどまるところを知らない。従来の「水平磁気記録方式」に代わり、より高密度記録が可能な「垂直磁気記録方式」もすでに実用化されているが、この「パターンドメディア」はそのさらに先を狙うものといえる。
現状のHDDでは、ディスク上に磁性体が一面に塗布されているのに対し、パターンドメディアでは、情報を記録する磁性粒子が規則的に並べられる。今回、研究グループでは、「ナノインプリントリソグラフィ」と呼ばれる方法により、アルミニウム上にナノメートルサイズの凹みパターンを形成、その中に磁性体(コバルト)を充填した。
この磁性体1つ1つで1bitを記録できるので、高密度化が可能になるという仕組み。25nm間隔で形成すれば1Tbit/平方インチになるが、今回は既存の磁気ヘッド(再生素子幅:100ナノメートル)を使用したため、実証では2.5インチディスク上に100nm間隔でナノホールを形成、磁性体の磁気信号を観測することに成功した。
今後は、ナノホールを25nm間隔で円周方向に規則配列した記録媒体を作成して、1Tbit/平方インチの記録・再生を目指すとしている。